筆者が聞いたほかの日本人夫婦の離婚原因は、大半が「性」に関係しているのもタイらしい。
ナイト・エンターテインメントが盛んな国である。主に夫がタイ人女性と浮気をする、ということが多いようだ。しかし、妻も負けじと浮気をしているということもよくある。中には夫がタイ女性と遊んでいるのだから、私だって遊ぶわ、と開き直る女性もいる。
ただ、日本人夫がタイ人女性と浮気するのに対し、女性はタイ人男性とも浮気をするが、日本人男性と関係を持つことのほうが多い。
タイ在住の日本人が増加しているのは、それだけ稼げる環境があるからでもある。タイに移住して、のんびりした優雅な生活を夢見ている人には残念な話かもしれないが、タイで就職すると日本以上に忙しくなる。日本以上に日本人的な仕事力が求められるし、日本人社会が狭いために人間関係もシビアで、下手をすれば居づらくなることもある。南国タイでのんびり、とはなかなかいかないのが現実だ。
こういうなってくると、日本人男性は、その身についた習性のせいなのか、ついつい働き過ぎる。そして疲れたからと相手を拒否し、セックスレス夫婦になっていく。これが案外に離婚原因として多い。女性側としては自分から求めることに屈辱を感じるかもしれない。それなのに夫は接待でカラオケなどで若いタイ人女性と遊んでいたりする。そうしてダブル不倫、あるいは離婚へと発展し、泥沼になる。
タイの日本人社会は拡大する一方で、結婚・離婚が当たり前になっている。そのうち、日本人社会では交際相手は知り合いの知り合いの元夫・妻ということも当たり前になるかもしれない。タイ人と結婚している筆者としては、年齢的にかつてNHKで放映されていたアメリカ青春ドラマ「ビバリーヒルズ高校白書」がオーバーラップする。日本人社会の男女のゴタゴタが、ビバリーヒルズの級友内で関係がゴタゴタして物語が進むイメージに重なり、ついつい噂話を楽しんでしまっている。
<取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:
@NatureNENEAM)>
たかだたねおみ●タイ在住のライター。6月17日に近著『
バンコクアソビ』(イースト・プレス)が発売