「プレミアム優待倶楽部」導入企業のIRを読むと、株主優待制度新設の目的が共通している。例えば、チェンジのIRでは、“当社は、株主の皆様の日頃のご支援に感謝するとともに、当社株式への投資の魅力を高め、中長期的に保有していただける株主様の増加をはかることを目的として、株主優待制度を導入いたします。”としている。
つまり、「プレミアム優待倶楽部」導入企業の多くが、「2年目以降」、すなわち、2年以上継続して株式を保有している株主に対して、1年目よりも多い進呈ポイント数を提示している。「2年目以降」は1年目の一割増しのポイント数になるものが多い。注意すべき点は、同一の株主番号であることが条件となることである。すなわち、株式は保有し続けることが条件となる。したがって、長期安定個人株主を増やすことが目的の一つである。
貯まったポイントは、Wills Coinというプレミアム優待倶楽部内で通用するクローズド型トークンアセットに交換することで、各企業の優待商品交換期間に関わらず1年間商品と交換できるほか、Wills Coin経由で他社ポイントと合算できることもできるようになる。例えば、タカショーおよびチェンジの両社の株主になったら、両社のポイントを合算し、商品・サービスと交換する、なんてこともできるのである。株数が少なくて、1社だけでは高額商品と交換できない場合でも、「プレミアム優待倶楽部」導入企業の株式を複数社持っていれば、ポイントを合算して高額商品に手が届くこともあり得るのだ。
ただ、商品・サービスよりも現金に近い株主優待の方がよいと考える株主も少なくないのが現実で、株主優待でクオカードという事例もある。その点では、「プレミアム優待倶楽部」のWills Coinは、現金への交換は現状は不可能だ。しかし、ポイントで交換できる商品・サービスが今後充実をしてくれば、なかなかおもしろい優待制度になる可能性もあるだろう。
<文/丹羽唯一朗>