最上位契約のWandaが運営する万達広場(大連市)
日本代表は残念ながら敗退してしまったが、白熱した試合が続くサッカーのロシアW杯、リアルタイムで試合を観戦していなくとも、ニュースなどでハイライトを目にする機会は多いだろう。そんなW杯だが、ピッチサイドの広告に目を向けると、中国企業の広告が目立つと思わなかっただろうか?
W杯は世界最大級のスポーツ大会とも言われ、日本を含めた世界中で注目度が高い。それほどの世界的なイベントであるが、2018年W杯ロシア大会では中国企業が存在感を高めているのだ。
W杯で広告を出稿する企業はW杯の主催者である国際サッカー連盟(FIFA)と何らかのパートナー契約を締結しているが、パートナー契約にはカテゴリが存在する。対象地域がグローバルのパートナー契約に限定すると、最上位のFIFAパートナーズは7社中1社、次点のFIFA W杯スポンサーズは5社中3社が中国企業で、両カテゴリを合計すると3分の1が中国企業となるのだ。
2015年のFIFAの汚職事件を受けて、一部の企業がパートナー契約を終了した影響も決してなくはないが、やはり中国企業の存在感は確実に増している。企業ごとの具体的な協賛金は非開示だが、国・地域別では中国が圧倒的に優勝の模様だ。
FIFAパートナーズに名を連ねる大連万達集団(Wanda)は遼寧省大連市で創業した複合企業で、本社は北京市に設置している。大型ショッピングモールの万達広場の運営など幅広く事業を展開しており、万達広場は筆者自身も何度か訪問経験がある。
FIFA W杯スポンサーズには蒙牛集団(MENGNIU)、海信集団(Hisense)、維沃移動通信(vivo)が名を連ねる。MENGNIUは内モンゴル自治区フフホト市に本社を置く企業で、乳製品大手である。Hisenseは家電製品大手で、本社は山東省青島市にある。日本にも進出しているため、それなりに日本でも知られているだろう。
Hisense傘下の青島海信電器はREGZAブランドの映像製品の展開を手掛ける東芝映像ソリューションの発行済株式の95%を東芝より買収したが、Hisenseは自社の広告枠で日本戦に限定してREGZAの広告を出稿した。vivoは広東省東莞市に本社を置くスマートフォン(スマホ)メーカーである。中国を筆頭にアジアの新興国を中心に急成長を遂げた。