渋谷川沿いにある100BANCH。1階はカフェ、2階はGARAGEと呼ばれる作業スペース、3階は100人規模のイベントスペースが入る
2020年のオリンピックをにらみ、再開発が進む渋谷駅の南側。この地に、意欲ある若者たちを巻き込んだプロジェクトを行う共創空間
「100BANCH」(ヒャクバンチ)」がある。スタートから1年、現在の状況を取材した。
100BANCHは、2018年に創業100周年を迎えたパナソニックが
「次の100年をつくる実験区」に据えた共創空間だ。WIRED CAFEなどを手がけるカフェ・カンパニー、FabCafeなどで知られるロフトワークと組んだ共同事業として2017年に始まった。
100BANCHでは、未来が楽しくなるような100のプロジェクトが動く、そんな場所を目指しているという。
その主役となるのが、
若者だ。ここでは35歳未満を対象に「何かやりたい」熱を持った若者たちに場所を提供し、メンタリングを行っている。若者が未来を見すえて新しい渦を起こす、そんな活動拠点を狙っているようだ。
渋谷といえば、言わずとしれた若者文化の発信地である。4つの鉄道会社の9路線が行き交う巨大な商業圏となっている。東急電鉄の地下化にともない、折しも渋谷は100年に一度とも言われる大規模な再開発が進めれている。
2000年代に渋谷マークシティ、セルリアンタワーが建設され、2010年代になってからは渋谷ヒカリエ、そして東横線も地下化された。残す渋谷駅南側、旧東横線渋谷駅の跡地には2018年9月、新たな商業施設「渋谷ストリーム」がオープンする予定だ。
プレスリリースより
100BANCHはこの渋谷ストリームと同じく、渋谷川のほとりにある施設だ。開発目覚ましい渋谷駅中心からすれば、残された最後の場所とも言えるエリアにあたる。1階はカフェスペース、2階にGARAGEと呼ばれる作業スペースがある。GARAGEはさまざまなプロジェクトが併行して活動する100BANCHの中心とも言える場所だ。3階には100人規模のイベントスペースもある。
進んでいる「プロジェクト」はさまざまだ。公式サイトには #パフォーマンス #ミュージック #食 #ファッション #プロダクト #昆虫/生物 といったハッシュタグが並んでおり、その中身も「墨字と点字が一体になった、目でも指でも読める文字をつくる」から「世界初のコオロギラーメン専門店を開業し、先入観を打破したい!『食は、冒険だ』」などジャンルは多岐にわたる。
プロジェクトは随時公募され、審査を通過したプロジェクトチームは、メンターによる支援が受けられるだけでなく、100BANCHの2F、3Fのスペースを無償で利用可能だという。
取材した日はちょうど、100BANCHの1周年を記念したイベント
「ナナナナ祭」が開催されていた。文化祭のようなこのイベントの最中、100BANCHの仕掛け人である
則武里恵氏(パナソニック コーポレート戦略本部 経営企画部 未来戦略室)に話を聞いた。