タイ洞窟で見つかった少年たち。すぐに救助できない理由とタイ軍が提案した仰天救出策

タイ北部の山。山は天候が変わりやすいのはタイも同じだ

 サッカー少年12人とコーチ1人の計13人が、6月23日にタイ北部のチェンライ県、ミャンマーとの国境に近い場所にあるルアン洞窟に入って以来、行方不明となっていたが、タイ軍の特殊部隊も出動する騒ぎになり、10日目の夜、洞窟内で全員の生存が確認された件は日本でも報じられた。  発見時の記者会見は日本では考えられないくらいの雰囲気で、捜索責任者らも笑顔を見せ、時折ジョークも飛び交うほどだった。タイ全土も喜びに包まれ、どのチャンネルでも一斉に報道。誰もが胸を撫でおろした。ところが、翌日になってから一般視聴者たちはこの遭難劇がまだ終わっていないことに気づき始め、安堵したのも束の間、喜びに振り上げた手をどうするべきかという事態になっている。

「雨期」だったのが大問題

 そもそも少年らが遭難してしまったのは、雨による冠水で洞窟が塞がれてしまったためだ。そのため、本稿執筆時点(発見から2日後の7月4日時点)も遭難者らは洞窟内に閉じ込められたままなのだだ。軍も少年らの命をつなぐため、食料を4か月分用意すると報道された。その量は今もなお事態が深刻であることを示している。  その理由は、まずタイの雨である。タイは今まさに雨期まっただ中。東南アジアは日本でのゲリラ豪雨が当たり前だ。一点集中の土砂降りが短時間で降る。あっという間に止むことが多いが、降雨量は侮れない。雨の前には前線の通過で突風が吹き、建物を破壊するほどでもある。

東南アジアはゲリラ豪雨が多く、洪水や冠水は頻発する。人間の手では太刀打ちできないほどで、2018年でさえ解決方法はない

 ちょっとでも雨が多いとタイはすぐに冠水や洪水が起こる。その猛威は2011年のタイの洪水を見ればわかるだろう。世界のハードディスクなどの値段が上がるなどの影響があり、死者も800人を超えている大洪水がタイで発生したのだ。  いま現在、タイでは軍が指揮して懸命な排水作業が行われているものの、この時期は雨期。排水をしても流れ込んでは洞窟を沈めてしまう量は普通に降るのである。乾期を待つか……と言っても、乾季は11月だ

タイ軍が提案した仰天策

 そこで、解決案としてタイ軍がある案を打ち出した。それはなんと、「少年らに潜水技術を教え、自力脱出させる」というプランだった。  映画などでは息を止めてがんばって向こう側に出るというパターンもあるだろう。しかし、このケースでは数百mに渡って水没しているので、酸素ボンベを背負って出てくるしか方法がないのだ。11月の乾期を待つくらいならば潜った方が早いということになり、自力で出させることも案外間違ってはいない。  しかし、少年らにダイビングをさせることの困難さもある。よく考えてみれば、軍の特殊部隊の潜水士が10日かかったほどの難所だ。ビギナーにケーブダイビング(洞窟潜水)が果たしてできるのか。
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洞窟潜水ならではの難しさ
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