武田、富士フィルム、ソフトバンク……日本企業による大型買収絡みの話題に垣間見える不安要素

通信会社から投資会社となるソフバンの死角は?

ソフトバンク

5月、’18年3月決算発表に臨んだソフトバンク・孫正義社長。ここで、携帯事業会社の上場を発表

 反対に、安定収益を上げてきた通信事業に見切りをつけたのが、ソフトバンクです。’13年に2兆円で買収した米携帯電話4位のスプリントを、同3位のTモバイルと合併させることを4月に発表しました。孫正義社長にとって悲願だった合併ではありますが、合併後の新会社の筆頭株主はTモバイルを傘下に持つドイツテレコム。ソフトバンクの持ち株比率は27.4%にとどまる予定です。事実上、「スプリントから撤退する」と言っていいでしょう。おまけに、5月の決算発表時には国内通信事業会社を別会社にして新規上場させることを発表しました。 「親子上場」からして時代に逆行しているのですが、一番の問題は「国内携帯事業を切り離す」ことです。一体、ソフトバンクは何の会社になるのか? どうやら通信事業から投資事業に軸足を移すようです。確かにアリババへの投資では大成功を収めましたが、その後の投資で評価されたのはウーバーぐらいのもの。ITバブル時代にはネットエイジグループなどのインキュベーション企業が実態もなく高値をつけましたが、ソフトバンクがその時代に逆戻りしているような気がして仕方がありません……。日本企業の“買収下手”が際立つ’18年となりそうです。 【闇株新聞】 ’10年創刊。大手証券でトレーディングや私募ファイナンスの斡旋、企業再生などに携わった後、独立。証券時代の経験を生かして記事を執筆し、金融関係者・経済記者などから注目を集めることに。現在、新著を執筆中 ― 2018年後半戦を読み解く4大経済ニュース ―
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