確実な契約をゲットするには、万人ウケを捨てることも必要<現役愛人が説く経済学42>

中長期的な愛人関係に持ち込むには「運命」タイプ

 ですから、紀州のドン・ファンが結婚した22歳のモデル女性は、こんな物言いもなんですが「結婚までして」長期契約をゲットしたとも言えます。豊富な軍資金をもつドン・ファンタイプをつなぎとめるには、法的に結婚するくらいしかなかったともいえるでしょう。  それでも一部週刊誌報道などでは、彼が「結婚後も愛人クラブを利用していた、若妻との離婚も考えていた」というのですから、事実だとすればやはり、ドン・ファンタイプとの交際にはある種の覚悟が必要なのです。それは「愛人関係が短期で終わる覚悟」です。  私は、愛人ビジネスをスタートさせた際、すでにアラサーでした。もう決して若くはない年齢で、容姿は凡庸です。ですから、多くの若い美女と同時進行で付き合いたいドン・ファンタイプを狙うのはやめようと考えました。女子大生やモデルと張り合っても、勝ち目は全くありません。  ですから最初から「運命タイプ」をターゲットに設定したのです。お硬い企業に努めておりましたのと、昔から読書が好きでしたので、中高年男性との会話を楽しむ知識くらいは「若い女性に負けないだろう」と自己分析をしたのですね。  愛人バンクに登録する際は、普段どおり派手な格好は避けて挑みました。華やかなタイプではなく、飲み会で男性と盛り上がる機会もないことも正直にお伝えしました。  男性から「君は真面目すぎる」とフラれたことがある、というお恥ずかしいエピソードすら開示したほどです。さらに、「1人の男性と真面目にお付き合いしたい」とも申し上げました。  これらの情報から面接官は、「この女性は真面目なので、遊び人のような男性とは合わないだろう、長期契約を求める男性と合うのでは」と判断なさったと思います。コンシェルジュが紹介してくださったのは、いずれも「運命タイプ」でした。もしドン・ファンタイプを紹介されても、上手くいく確率は下がったでしょう。  顧客の詳細なイメージ(ペルソナ)を描くマーケティング戦略が何のためにあるかといえば、自社製品と広告を、ペルソナに合わせて最適化するためです。愛人は自分が商品ですから、商品をペルソナに合わせて無理やりねじまげるのには、限界があります。  そこで私は、「どちらの顧客ペルソナが自分にとって営業しやすいか」を考えて、運命タイプにペルソナを絞りました。  愛人ビジネスにおいて、「万人受けは狙うな」とはまさにこのことなのです。 <文・東條才子>
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