原発再稼働反対を掲げて出馬した池田千賀子候補の応援演説を行う黒岩宇洋衆院議員(右)。花角知事の就任後の“変節”ぶりを追及している
花角知事の本音は6月15日に東京で行われた新潟県選出の国会議員への説明会でも飛び出したようだ。16日付の『朝日新聞』新潟版は、その時の様子をこう紹介した。
「無所属の会黒岩宇洋衆院議員(3区)が『条件付きで再稼働を認める可能性はあるのか』と質問したのに対し、花角知事は『
当然ありうる。ゼロか1かの予断を持っていない』と答えたという」
6月15日の「条件付き再稼動容認発言」については21日、知事就任後の初の定例会見でも取り上げられた。
――県選出国会議員との会談の中でも「条件付きの再稼動」みたいな発言もあったと聞いていますが。
花角知事:「再稼動の議論は今できません。検証委員会の結果が出てくるまでは分かりませんね」と(言った時に)、その先のことを(黒岩宇洋衆院議員に)さかんにしつこく聞かれて、「それは、ゼロから1までありうるでしょう」と言っただけなのです。「論理的には、誰もイメージがないのに、そこだけ聞かれても『それはゼロから1まである』としか言いようがありませんよね」とお答えしただけです。
――選挙戦で主張していたことと、違いはあるのですか?
花角知事:まったく変わりはありません。
しかし選挙中は原発再稼動に慎重な主張をしていたにも関わらず、当確が出た直後から「ゼロから1までありうる」と言い出し、「条件つき再稼動容認」を示唆し始めたのは紛れもない事実だ。再稼動しない「ゼロ」と、再稼動する「1」の間は、「条件つきの再稼動」しかありえない。
「ゼロから1まである」と説明する花角知事の落とし所が、最初から「『原子力規制委員会の、世界一厳しい安全審査基準』(安倍首相による表現)の遵守を条件に、再稼動を容認」だったということは容易に想像がつく。
就任2週間にして早々と“原発推進派”の正体を現し始めてきた花角知事。6月27日からは県議会が始まるが、どのタイミングで原発再稼働に舵を切っていくのか。花角知事の動向から目が離せない。
<取材・文・撮影/横田一>
ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた
『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他
『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数