当選直後、「原発再稼働に慎重」ではなくなった花角知事
県知事選の当確が出た直後、インタビューに答える花角知事。この時からすでに“変節”が始まっていた
世界最大級の東京電力
「柏崎刈羽原子力発電所」の再稼動を左右する
「新潟県知事選」(6月10日投開票)で、自公支持の元国交官僚の花角英世候補(知事)が初当選を決めた途端、早くも
“変節”を始めた。
選挙期間中は「(米山隆一前知事時代の福島原発事故に関する)3つの検証を継承」「将来的には原発がない方がいい」「県民の意向を尊重」と再稼動に慎重な訴えをしていたが、10日22時すぎに当確が出た直後から「再稼動するのか再稼動をしないか。
ゼロか1かとは思っていない。条件をつけることも考えられる」と急に発言内容を一変させ、「条件つき再稼動容認」の可能性を示唆し始めたのだ。
筆者は囲み取材で「菅(義偉)官房長官に『原発再稼動をよろしく』と言われたら断れるのですか」と聞いてみたが、花角氏の歯切れは悪かった。「3つの検証継承と県民の意向尊重」という選挙中の決まり文句を繰り返しただけだった。
選挙プランナー三浦氏と管官房長官のシナリオ通り!?
花角知事誕生に貢献したのが、菅官房長官の懇意とされる選挙プランナーの三浦博史氏。この三浦氏の
得意技は「争点隠し」だと言われている。いまや安倍政権の常套手段ともなっているが、今回の新潟県知事選でも花角氏は実践した。原発再稼動について、花角氏は「3つの検証を継承」「検証中は再稼動の議論はしない」という米山前知事の主張を丸飲み。池田氏との違いをほぼ消し去ることに成功したのだ。
6年前の2012年7月の山口県知事選でも、三浦氏のプランのもとに
同じことが行われた。環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長が「上関原発の建設に反対」を掲げて出馬した時のことだ。三浦氏が指南した自公推薦の山本繁太郎候補(前知事)も、飯田氏の原発政策と同じ主張を行い「争点隠し」をしたのだ。しかし山本知事は当選後、徐々に公約を後退させた。このため、落選した飯田氏が県庁内で「公約違反」と抗議する会見を開くことにもなった。
花角知事も山本前知事と同様、就任早々に“変節”を始めている。自民党と公明党の全面支援で当選した花角知事が、いきなり選挙中の主張とはニュアンスが違う「条件つき再稼動容認」の発言をはじめ、選挙戦中の約束を反故にする方向に舵を切り始めたのは、すでに予定されていた菅官房長官と三浦氏の“合作シナリオ”だったのではないかと思われる。