7年前の東日本大震災では、地震発生時、茨城県にいた姉たちが被災しました。身近な人が被災したことで、震災後は自分も防災対策を見直して準備をしていましたが、時間が経つにつれて、いつの間にか怠るようになっていました。
内閣府の地震本部の発表によると、世界で起きる地震の10~15%、マグニチュード6.0以上の大地震に絞れば、約20%が日本で発生しています。毎年どこかで大規模な地震が発生しているのに、「自分が住んでいる地区だけは、きっと大丈夫」とどこかで思ってしまっているのです。
これは、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう、「正常性バイアス」の一種のように思います。
今回の地震により、私自身、すっかり気が緩んでしまっていることを思い知らされました。
心理学的にみると、この正常性バイアスは、誰しもが持つ特性です。例えば、日常生活の中で、交通事故を起こしかけた経験や被害者になりかけた経験があっても、いちいち過剰に反応すると、身動きが取れなくなってしまう。そのため、人の心は、危険に対して鈍感になり、非日常を日常と認識することで、日々の生活を送れるようにしているのです。
ただ、このバイアスが強すぎると、非常事態に適切な行動が取れなくなってしまう。例えば、津波や火山の噴火など、迅速に避難しなければいけない事態が起きても、「だいじょうぶだろう」と避難しないで命を落としてしまう危険性があります。
私は阪神淡路大震災を目の当たりにし、姉が東日本大震災で被災したのに、すでにバイアスで、「自分は大丈夫だろう」と根拠もなく感じるようになっていました。平静な心で日常を送るためとはいえ、ちょっと怖いですね。
これを機に、もう一度自分の住んでいる地区の震災の可能性――私は関東在住なので、例えば富士山の噴火、首都圏直下型地震、津波や洪水が起きた場合を想定して、対策を考えてみようと思います。
何か起こったときには、自分は大丈夫と思い、周りが何もしていないから安全だと動かないのではなく、もしかしたら危険かもしれないという前提で動きたいです。皆さんも、ぜひご自分が住んでいる場所の防災情報を見て、災害対策をしてくださいね。
◆◆◆◆“アーチャリー”松本麗華の視線 第3回◆◆◆◆
【松本麗華】
@SweetsGirls
文教大学臨床心理学科卒業後、産業カウンセラーの資格を取得。心理カウンセラーとして活動する他、執筆や講演、ヨガのインストラクターもしている。日本産業カウンセラー協会、日本人間性心理学会所属。自身の半生を振り返る手記『
止まった時計』を上梓。実の父親である麻原彰晃は複数の精神科医から外的な刺激に反応することができない「昏迷」という状態にあるとされ、治療されることなく裁判が終結。10年以上、面会ができていない。現在も、父の治療と面会を求め続けている。健康情報とお得情報、割引クーポンが大好き。
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