英国リーグへの挑戦を保留にしたカレン・ロバート「40歳までには自分のチームでJ昇格したい」

自分が立ち上げたチームのオーナー兼選手として、Jリーグ入りを目指したい

 余談だが、本来なら「日本サッカー協会」のようにそれぞれの国で国名を冠するのが普通だが、イングランドに限ってはフットボール発祥の地としての自負からか、単に“Football Association”で「イングランド」はつかない。  それはともかくとして……書類がこない。 「結局猶予は一か月だったのですが、その一か月がすぎて結局この移籍話はなくなってしまいました。この15か月間本当に精神的にもつらくて、最後にこれかよ、と。もはやこれはもう辞めなさいという神様のお告げかなとも思ったのですが、とにかく悔いなくやりきりたい」  そう言ったカレン・ロバートは、一拍置いて言葉を続けた。 「そんなこんなもあり、今年七月にイングランドの四部とか五部のトライアルを受けて、合格すればそれでいいですし、ダメなら合格している七部で英語とかを勉強しながら一年間やってそれでプロ選手としての海外挑戦は終わりにします。その後は、自分が立ち上げたローヴァーズのオーナー兼選手として、試合に出て自分のチームでJリーグ参入を目指します」  前々回の彼の記事「元磐田のカレン・ロバート、アジアリーグ契約時に代理人に騙された経緯を語る<1>」で近影を載せたところ「カレン、太った?」という書き込みがあった。たしかに、現在の彼は普段より太っている。理由は簡単で、7月のトライアウトまでまだ時間があり、コンディションをピークにするのは早すぎるからだ。  だから筆者と初めて出会い、今回も待ち合わせた船橋の某ファミレスでも、彼は普段なら食べないスイーツ、パフェを思いきり食べていた。最後の挑戦に向けて、今が最後の休息期間なのだ。  正直に言おう。今回四月の上海滞在中に「話を聞いてほしい」とカレン・ロバートからLINEで呼び出しを受けた筆者は、彼が「引退宣言」をするのではないかと半ば覚悟を決めていた。実質一年半以上「開店休業」状態が続いているのは事実だし、彼なら引退後の事業・蓄えともに何の問題もない。条件は全て揃っている。筆者はその旨を彼に話した。 「僕もね、今回“引退”とは何ぞやというのを自分なりに調べてみたんですよ。今のところケガもしていないしこちらから辞める理由はないですからね。調べたところによると、サッカー協会から選手登録を外したら引退ということになるらしいんですよ。だからローヴァーズで選手として出ている限りは引退ではない、ということです。40歳までプレーしそれまでにローヴァーズFCをJリーグまで押し上げれればと燃えています。最後の方は出場時間が20分程度になる可能性はありますが40までプレーヤーとしてサッカーを楽しみたい……」  カレン・ロバートが立ち上げたチーム「ローヴァーズ」とは「さすらい人」という意味である。日本を飛び出し、オランダへ向かい、その後イングランドへ行くはずだったのがたどり着いたのがなぜかタイのバンコク郊外で、その後も韓国、インド、それもバングラデシュに近い最東部の辺境とさすらってきた。つまり、カレン・ロバートの人生そのものである。その間、ずっと彼は単身赴任で家も買っていない。  何はともあれ、まもなくカレン・ロバートのさすらいは終わり、家族とともに安住の日々が始まることになる。 【タカ大丸】  ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』(三五館)は12万部を突破。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。  雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。公式サイト
 ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。
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