実はアジア3位のビール消費量。意外なビール大国「ベトナム」の独特なビール文化

ベトナムの独特な「生ビール」文化

 ベトナムのビール文化において生ビールを忘れてはいけない。  北部では「ビア・ホイ」、南部では「ビア・トゥオイ」と呼ばれ、中部では一部で「フレッシュビール」として販売されている。日本でも見かけるような、バーや飲食店で飲めるものもそうだが、ベトナムの生ビールがおもしろいのは、専門の屋台で飲むことにある。  例えばハノイの旧市街と呼ばれるホアンキエム地区では道端や食堂に「BIA HOI」と書かれた看板が散見される。ベトナム語は英語のアルファベットに声調記号がついたもので、正しい発音はできなくても、なんとなく読める。ビア・ホイも同様で、アルファベット読みならすぐにわかる。ハノイでは5000~7000ドン(約24~34円)が相場で、外国人向けのビア・ホイだと1万ドン(約48円)を取る場合もある。

ビア・ホイはダイレクトに樽からグラスに注ぐ

 注ぎ方が実に原始的で、日本の居酒屋で見かけるような生ビールの銀色の樽は同じでも、サーバーなどの装置がなく、樽からダイレクトにホースでグラスに注ぐ。元々ベトナム・ビールの味わいが薄めだが、ビア・ホイはさらに薄く、炭酸も少ない。要するにビールとしてはあまりいい品質ではないにしても、屋台で飲む感覚や安さがよくて外国人に人気がある。

ハノイ旧市街のビア・ホイ屋台。半年後にはこの老婆はビア・ホイをやめて瓶に専念し始めた

 しかし、ハノイではビア・ホイ屋台が減りつつある。そもそも味がよくないと言われるだけでなく、悪い噂も多いからだ。例えば、ビア・ホイ業者は飲食店を周り余った瓶ビールや生ビールを集めて樽に詰めているだとか、賞味期限切れのビールを詰め替えて売っているなどの話がある。ベトナムの若者たちにすればまずいし、怪しいし、なによりもダサいということで、ハノイではビア・ホイを好む人が減りつつある。  一方で外国人が多く洒落たパブなどが多い旧市街にベトナムの若者が流入している。彼らにするとおしゃれということなのだろうが、ベトナム人客が増えたことで旧市街の商店や屋台がビア・ホイをやめて、ハイネケンなどの若者ウケする商品に切り替えを進めている。
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「ビア・ホイ」も復活の兆し
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