大阪の熾烈な百貨店競争に「庶民派百貨店」はどう挑む?――全面リニューアルした「阪神梅田本店」を徹底解剖(2)

新装なった「阪神梅田本店」の夜景。窓が印象的だ

 前回の記事「デパ地下で「せんべろ」も――全面リニューアルした「阪神梅田本店」を徹底解剖」では、6月1日に第1期新装オープンを迎えた「阪神梅田本店」(大阪市北区)について、地階「スナックパーク」を中心に、生まれ変わった同店の魅力と新たな顧客獲得のための取り組みを紹介した。今回は地階から上層階の様子についてリポートしてみよう。

大阪の百貨店業界が抱える問題

各百貨店の増床計画発表後、僅か4年で閉店した「そごう心斎橋本店」。現在は大丸心斎橋店北館となっているが、2021年には同館にパルコも出店する予定

 さて、地階から上層階へと上がる前に、ここで大阪の百貨店業界が抱える大きな課題「オーバーストア問題」について触れなければならない。  大阪では、2005年のそごう心斎橋本店開店以降、百貨店の増床・開店が相次いでおり、とくに2011年の高島屋大阪店(本店)、大丸梅田店(うめだみせ)の増床、JR大阪三越伊勢丹の開店、そして2012年の阪急うめだ本店の建替全面開店により、百貨店の売場面積が5割ほど増加することとなった。  当時、オーバーストアによる過当競争状態となった大阪の状況は「2011年問題」とも称されたほどで、熾烈な競争に敗れて僅か4年で閉店に追い込まれた「JR大阪三越伊勢丹」、「そごう心斎橋本店」の話題は全国ニュースでも大きく取り上げられた。
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大阪市周辺の主な百貨店・都市型商業施設の動き(2005年以降)

図:大阪市に本店を置いていた百貨店6店舗の売場面積推移。これ以外にも大丸梅田店などが増床開店している(作成・都市商業研究所)

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インバウンドに頼らないでどう戦う?
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