新潟県知事選での「女性知事いらない」応援演説、花角英世候補も与党関係者も問題意識なし

 世界最大級の東京電力「柏崎刈羽原発」再稼動だけでなく、安倍晋三首相の総裁選3選も左右するとして注目されている「新潟県知事選」(6月10日投開票)。与党側候補者の花角英世氏の街頭演説(5月31日・魚沼市)では、応援に駆けつけた地元の商工会長が「新潟県に女性の知事はいらないんです!」と発言し、「女性蔑視だ」との反発を招いている。しかし、この発言は花角氏本人のものではない。花角氏はこのことについてどういう見解を持っているのだろうか?

「女性知事いらない発言」への見解について花角氏を直撃

花角候補

街頭演説を行う花角英世候補。新聞報道を見ても記憶はよみがえらなかったのか

 そこで6月2日、街宣車に乗り込む直前の花角氏に声をかけた。しかし、すぐにスタッフがブロックして筆者をさえぎる。そのまま街宣車の助手席に乗り込んだ花角氏に向かって、窓越しに「女性知事いらない発言についてどう思いますか」と声をかけ続けると、花角氏はようやく「覚えていない」と答えた。  翌3日には『朝日新聞』新潟版が「魚沼の商工会長『女性知事は必要ない』」と銘打った記事を出し、さらに騒動は広がった。さすがに新聞で報じられれば、花角氏の記憶も蘇るだろうと思い筆者は再度直撃した。 ――「女性知事いらない発言」についてはどう思いますか。 花角氏:誰の発言ですか。私、知らないのですよ。 ――魚沼市の商工会長が5月31日に隣で話していましたよね。『朝日新聞』が報道しています。 花角氏:報道を見せてください。 ――隣で聞かれていて、何も思わなかったのですか。 花角氏:「女性とか男性とかは関係がない。能力がある人こそ大切だ」とおっしゃったのではないですか。  ここで星野伊佐夫県議(県連常任顧問)らスタッフが間に入って質問を遮った。花角氏の記憶は戻らないどころか、その脳内では応援演説内容の改竄が行われているようだった。  さらに6月5日、3度目の直撃。車の窓越しに質問すると、『朝日新聞』の記事を読んだことは認めたものの、「女性知事いらない発言」の見解については窓を閉められ回答を拒否されてしまった。

花角氏応援の娘さんの反応は……?

 実際の演説の内容は、今回の女性差別発言をいち早くツイッターで紹介した、フリーライターの畠山理仁氏が公開した動画を見れば一目瞭然だ。花角氏のすぐ隣で商工会長は、次のように訴えていた。 「花角さん、経験もの凄く豊かです。副知事時代から商工会をすごく応援をしてくれています。新潟県には女性の知事は必要がない。経験豊かな花角さん、一つ、よろしくお願いしまして応援にさせていただきます」  この時、隣で聞いていた元新潟県知事の泉田裕彦衆院議員(新潟5区)は苦笑しながら首を傾げたのに対し、花角氏は参加者に向かって一礼をするだけ。訂正や釈明をすることはなく、「花角氏も泉田氏もそのまま立ち去ってしまいました」(畠山氏)という。  これと対照的な反応をしたのが、「応援にかけつけた」と話す花角氏の娘さんだ。6月2日の新潟市内での街宣で「むすめ」というタスキをかけて、道行く車に手を振っていた娘さんに声をかけた。
むすめ

「むすめ」とのタスキをかけて手を振る、花角氏の娘さん。発言訂正の必要性を認めた

「女性知事は新潟にいらない」発言を訂正するなり、「自分の考えとは違う」と説明するなりしたほうがいいのではないか、と聞くと「そうですね」とその必要性を認め、「ちょっと方法は考えさせていただきます。ありがとうございます」と簡潔だが明瞭な答えが返ってきた。
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現場の与党関係者に問題意識なし
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