日本発の宇宙船会社「PDエアロスペース」、5.2億円を調達。来年にも無人機が宇宙へ!
有人宇宙船の開発を目指す愛知県の企業「PDエアロスペース」は2018年5月31日、ANAホールディングスやH.I.S.など5社から、総額5.2億円の資金調達を行ったと発表した。
同社はこれにより、新型エンジンや無人の飛行実験機の開発に本格着手。2019年にも、高度100kmの宇宙空間への到達、帰還を目指すという。
PDエアロスペースは2007年に設立された企業で、愛知県名古屋市に本社を置き、同碧南市に研究・開発の拠点を置き、高度100kmの宇宙空間まで飛行できる「宇宙飛行機」の開発に挑んでいる。
同社の宇宙船は、飛行機のように滑走路から飛び立ち、そして高度100kmに到達。漆黒の宇宙と青い地球を眺めながら、体がぷかぷか浮かぶ微小重力(無重力)状態を体験できる。帰還時はそのまま飛行機のように滑走路に着陸する。飛行機のように飛べる宇宙船であるところから、同社は宇宙飛行機と呼んでいる。
PDエアロスペースが開発する宇宙飛行機の最大の特徴は、コスト低減と安全性向上が図れる、新開発のエンジンを使う点にある。
飛行機に使われるジェット・エンジンは、大気中にある酸素を使って飛ぶため、大気圏内しか使えない。いっぽう、ロケット・エンジンは自分で酸素をもっているため宇宙でも使えるものの、ジェットより効率が悪い。
そのため、現在米国などで開発が進む宇宙船は、効率が悪いのを承知でロケットだけで飛ぶものや、あるいは、ジェットで飛ぶ飛行機とロケットで飛ぶ宇宙船を別々に用意し、合体した状態で上空まで飛び、両者を分離して、宇宙船だけが宇宙へ飛んでいく複雑なものとなっている。
しかし、PDエアロスペースは、ひとつのエンジンでジェットとロケットの両方の機能をもち、いつでもその機能を切り替えられる、新型エンジンを考案。エンジンがひとつになるため、製造コストや運用コストを低減でき、燃費もいいため効率もいい。
さらに、ロケットで飛行中にトラブルが起きた際に、ジェットに切り替えて飛行することで、別の空港に着陸したり、着陸をやり直したりといったこともできるため、安全性も高くできる。
コスト低減と安全性の向上により、誰でも手軽に宇宙に行けるようにすることを目指す。
PDエアロスペース
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