近年、宇宙ビジネスという言葉は日常のニュースの中でも聞かれるようになったが、その中でも宇宙旅行は、ひとつの極になる潜在価値を秘めている。
現在米国では、ヴァージン・グループ傘下のヴァージン・ギャラクティックと、Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏の宇宙企業ブルー・オリジンの2社が、宇宙旅行の実現を目指した宇宙船の開発を行っている。両社とも試験飛行を繰り返している段階で、早ければ今年中にも人を乗せての宇宙飛行を行うとされる。
もちろん、こうした宇宙船が実用化されても、最初は運賃が高額なことから、富裕層による利用が中心になる。しかし、かつての旅客機が歩んできた歴史のように、やがては一般にも手が届く金額となり、海外旅行に行く感覚で宇宙に行けるようになろう。
また、最初は宇宙船に乗ることそのものが目的になるだろうが、いずれは宇宙に行ってなにかをするため、宇宙船に乗ることが手段になる、飛行機や鉄道など他の乗り物と同じ位置付けになる時代も訪れるだろう。
そしてPDエアロスペースの挑戦によって、そんな未来が、米国だけでなく日本にも訪れるかもしれない。宇宙旅行はもはや、「できるか、できないか」ではなく「やるか、やらないか」という時代に来ている。
米国のヴァージン・ギャラクティックが開発中の宇宙船「スペースシップツー」。早ければ今年中にも、人を乗せた状態で宇宙飛行を目指す Image Credit: Virgin Galactic
<文/鳥嶋真也>
宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュース記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)など。
Webサイト:
http://kosmograd.info/
Twitter: @Kosmograd_Info(
https://twitter.com/Kosmograd_Info)
【参考】
・シリーズA総額5.2億円の資金調達を実施(
http://pdas.co.jp/documents/Press_180531.pdf)
・PDエアロスペース株式会社|民間主導の宇宙機開発。有人機、無人機の完全再使用型の宇宙機を開発中。(
http://www.pdas.co.jp/index.html)
・ANAホールディングスは宇宙旅行・宇宙輸送の実現を目指すPDエアロスペースをさらに支援いたします|プレスリリース|ANAグループ企業情報(
https://www.ana.co.jp/group/pr/201805/20180531.html)
・H.I.S.グループにおけるPDエアロスペースへの追加支援について~宇宙旅行への更なる加速・進化を~(
https://www.his.co.jp/material/pdf/n_co_20180531.pdf)
・News – Virgin Galactic(
https://www.virgingalactic.com/articles/Richard-Branson-Welcomes-VSS-Unity-Home-from-Second-Supersonic-Flight)
宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュース記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。
著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)があるほか、月刊『軍事研究』誌などでも記事を執筆。
Webサイト:
КОСМОГРАД
Twitter:
@Kosmograd_Info