退職者を量産したバー店主が語る。“いまの世の中「サラリーマンから足を洗いたい」と考えるほうがマトモ!?”

「経済」のカラクリに準じて給料をもらうために、魂を売る

 その目指す先であるたいがいの「いい会社」は、多かれ少なかれ何かしら「悪いこと」をして、テレビや新聞、雑誌やネットなどを騒がせる。「悪いこと」をしなくとも、大量生産、大量消費、大量廃棄が、人間も含めてあらゆる生命体をかなりのスピードで脅かしている。そのことを、多くの人は気づいている。  サービス業や農業だって大型化・拡大化すれば、「社会善」とともに「社会悪」も同じくらい伴うのだということに、多くの人は気づいている。会社の内部にいれば、自社の“悪党ぶり”は誰よりも本人が気づく。差別、セクハラ、パワハラ、いじめ、騙し合い、蹴落とし合い。談合、粉飾、詐欺、脱税、贈収賄。当事者ではなくても心が傷む。会社には、鬱、休職、その予備軍がどれくらいいるだろうか。  その人たちは心が弱いって? いやいや、そうじゃない。間違っていることを間違っていると言えない。正したくとも、組織の中にいると正せないのだ。だから心身が参ってしまう。そんな人が多いということだ。  給料をもらうためには、会社とか、社長とか、それら厄介者に頷くしかない。  いや、会社も社長も、大株主に従うしかない。  いや、会社も社長も大株主も、「生産量や売り上げ額を増やさなければならない」という思い込みに従うしかない。  いや、「そうしなければグローバル化する時代に生き残れない」という勘違いに従うしかない。「経済成長すればすべての問題を解決できる」なんてインチキに気づかず、従うしかない。  それは奴隷か!  得体の知れない「経済」という厄介なカラクリに準じて給料をもらうために、魂を売り、魂を預けなければならないらしい。「足を洗う」対象は、今やヤクザな世界の専売特許ではなくなった。「いい会社」ってヤツに、乗っ取られちまった。
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格差は「根性で何とかなる」ものではない
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