新潟県知事選で与党系候補の花角英世氏が公約としてぶち上げた「日本海縦貫新幹線」整備は必要か

人口減少が止まらぬ中、「さらなるインフラ」は必要か?

上越新幹線

上越新幹線は北陸新幹線の開業によって北陸方面の乗客を奪われ、減便している

 公共事業推進の急先鋒である二階俊博・自民党幹事長の運輸大臣時代に秘書官を務めただけあって、交通インフラ整備について語り始めると、熱弁がなかなか止まらなかった。これに対し、県政ウォッチャーはやや冷めた見方をしている。 「『国土強靭化』を旗印に公共事業拡大を進める二階幹事長と二人三脚を組んで『新潟県を交通インフラ整備先進県、牽引車役になる』という近未来図が目に浮かびますが、仕事が増える建設業界や一部の新幹線推進派には歓迎されても、県民への支持拡大は限定的だと思います。すでに上越新幹線や北陸新幹線があり、高速道路もかなり整備されているわけですが、それでも人口減少は止まらなかった。交通インフラ整備を『もう一段』進める必要性を感じている県民は多くはないのではないか。 さらに問題点としては、大阪~新潟間の人の移動が途中駅間も含めてそれほど大きくないこと。日本海側新幹線の費用対効果には疑問が残り、JR東日本やJR西日本が積極的に新潟接続線の工事費を出す可能性は低い。もしやるとすれば、新潟県がその多くを負担しなければならなくなるでしょう」  歩んできた道が異なれば、最も重視する政策が違うのは当然だが、対照的な両候補のどちらが支持を広げていくのが注目される。なお序盤の世論調査では「両者はほぼ互角」の結果が出ているという。 <取材・文・撮影/横田一> ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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