出馬会見で、新潟県のさらなる交通インフラ整備を表明した花角氏
世界最大級の東京電力「柏崎刈羽原子力発電所」再稼動を左右するだけでなく、安倍首相の総裁選三選をも占う与野党激突の「新潟県知事選(5月24日告示・6月10日投開票)で、両有力候補の目玉政策の違いが明らかになった。5月15日の出馬会見で与党系の花角英世氏(二階俊博幹事長の運輸大臣時代の秘書官)が、中国地方から新潟を経由して青森までを結ぶ「日本海縦貫新幹線計画」をぶち上げたのだ。
池田氏(左)は、原発再稼働に対して、さらに厳しい姿勢で臨むと発表した
これに対して野党系の池田千賀子氏(柏崎・刈羽地区選出の県議)は5月16日に「安心で持続可能な新潟への5つの約束~子どもたちの未来のために」と銘打った政策を発表。福島原発事故の検証期間を米山県政の「2~3年」から「今後最低3年」に延長したうえで、検証終了後に再稼動に対する民意を県民投票などで問うことも明らかにした。
米山前知事の「3つの検証継続」を表明した花角氏よりも、期間延長と県民投票などの民意確認プロセスを加えて再稼動のハードルをさらに上げたといえる。また立憲民主党などの野党が国会に提出した「原発ゼロ基本法案」(施行後5年以内の全原発廃炉決定など)を「強く支持する」とも公約に明記。柏崎刈羽原発7基の廃炉を求める立場であることを強調、原発推進の安倍政権との対決姿勢を明らかにしたのだ。なお、公約発表の会見には、前回の県知事選で米山氏を支援、ブレーンも務めた「市民連合@新潟」の佐々木寛新潟国際情報大教授が同席した。
花角氏は交通インフラ整備を「もう一段」進めると表明
2015年3月に長野~金沢間が開業した北陸新幹線。建設にあたって、新潟県と沿線自治体は1600億円を負担した
最大の争点である原発再稼動で米山前知事以上に踏み込んだ発言をした池田氏に対して、元国交官僚の花角氏は得意分野の交通インフラ整備事業を最優先課題として取り組むことを出馬会見で表明した。
「副知事時代にもいろいろな人に申し上げたことでもあるのですが、交通体系をもう一段ブラッシュアップしたい。新潟は恵まれた高速交通体系を持っていて、非常に交通の整備は進んでいる。それが経済や暮らしの中でいい環境を作ってくれていると思うのですが、もう一段、上越・中越・下越をつなぐ部分(の高速道路)が足りない。直江津から柏崎から長岡をつなぎたい」
さらに花角氏は特大の“花火”も打ち上げた。中国地方から新潟を通り青森まで日本海側を結ぶ新幹線計画について、出馬会見で「一番大きな課題は人口減少問題」と強調し、熱っぽくかつ詳しく語ったのだ。
「新幹線の基本計画に入っている『羽越新幹線』(富山市~新潟市~青森市)という計画路線があるのですが、これは県内の一体化という意味でも非常に重要だと思います。さらに日本の国土軸を考えた時に、太平洋側は北海道から鹿児島まで完成をしましたが、災害に見舞われる可能性が高い。その時に日本海側の九州・中国地方から上越地方、北海道につなぐ路線がないと(代替路線がなくなる)。もしもの時のことが起きた時の備えとして基盤であります。
そういう意味でも羽越新幹線。県内的に言えば、上越・中越・下越をつなぐ交通体系の強化の気運を高める。2年、3年でできる問題ではないので、5年、10年、15年かけて作っていくことを目指して、言い出すことが必要だと。交通問題にまず取り組みたい」