ハリウッドスターのオアシスだったアカプルコ。半世紀後の今、殺人事件多発の危険地帯に

 もちろん、このような状況下でも、観光客はレストランやホテルへのアクセスは容易で愉しむことはできる。しかし、その反面「1200のビジネスが犯罪組織による不当な恐喝などで廃業に追い込まれて行ったのも事実である」とゲレロ州の商工会議所の会長は『El Mundo』の取材に答えている。

同じくリゾート地のロス・カボスも殺人多発都市

 もっとも、メキシコはアカプルコだけがカルテルによる犯罪が横行しているのではない。アカプルコ以上に殺人が頻発しているのはバハ・カリフォルニアの半島の先端にある同じくリゾート都市ロス・カボス(Los Cabos)である。ロス・カボスには年間で240万人が訪れ、その75%は外人の観光客で主に米国人である。2020年までに50億ドル(5400億円)を投資して22軒の新しいホテルが建設される予定であるが、アカプルコと同様に犯罪の横行で観光事業が斜陽化するのを懸念している。  このような報告をしているのはNGO組織「バハ・カリフォルニアの公共の安全と正義の為の市民委員会」である。それによると、ロス・カボスでは10万人につき111.33人が殺害されているそうだ。アカプルコの場合は106.63人と記録されている。  メキシコの2017年は25,339人が殺害されるというこの20年余りでもっとも暗い年になったそうだ。(参照:「El Sur Acapulco」) <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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