野党の「審議拒否」は「サボり」なのか?

Q3:野党による審議拒否がケースバイケースで必要になるとしても、4月下旬からの野党の審議拒否は単なる「サボり」で、税金のムダづかいではないのか? A3:森友学園や加計学園等の一連の問題をどのように認識しているかで、賛否が真っ二つに分かれることでしょう。  これらの問題を「政府への信頼を揺るがす問題」「国会の内閣チェック機能を損なう問題」「法案審議の前提が崩れている問題」と認識する議員、人々は、やむにやまれぬ行為と捉えています。  一方、それらを「まったく問題ない」「公務員個人の不正」「内外の課題や法案に比べれば些末な問題」と認識する議員、人々は、サボりと捉えます。  ただ、国会の前提は、A2で示した与野党の共通認識で成り立っています。少なくとも、野党が一致して「共通認識が崩れた」というときは、与党が野党の主張にも一理あるとして、歩み寄る必要があります。かつて、自民党の河野謙三参議院議長は「七三の構え」と称して、野党に七の重心を置く国会運営の大切さを説きました。それが、国会の役割を果たすことと考えていたのです。  よって、4月下旬からの野党の審議拒否は「サボり」でなく、国会の役割を果たすための野党の重要な「仕事」と捉えています。  ところで、筆者のこの認識に賛同できない方もいるでしょう。それでいいのです。民主主義社会ですから、様々な意見に接して、自らの考えを形成すること自体に意義があります。その姿勢は、次の投票機会に示してください。 Q4:世の中では、上司や先生が嫌でも、会社や学校を「サボる」わけにはいかない。国会議員にとっての仕事場は、本会議や委員会なのだから、審議拒否はやっぱり「サボり」ではないのか? A4:それでは、少々強引ですが、国会を会社に例えて説明してみましょう。国会と会社の大きな違いは、経営者です。  会社には、経営者と社員がいて、基本的に(契約にもよりますが)社員は経営者の職務上の指示に従います。また指定された場所で、指定の勤務時間、働く必要があります。勤務の規則も経営者が策定します。  一方、国会には経営者にあたる存在がいません。いつ、どのように本会議や委員会を開催するかは、与野党の合意によって決まり、紛糾したときには与党(多数派)だけで決めることもあります。運営のルールは、国会法と院の規則で大まかに決められていますが、多くは議員間の話し合いに委ねられています。このことを「議院自律権」といいます。  よって、国会を会社に例えると、経営者がいなくて、社員だけで運営している会社ということになります。社員は、様々なグループに分かれていますが、大きく主流派グループ(社員多数派)と非主流派グループ(社員少数派)に分けられます。  そんな会社で、もし主流派グループによる「会社の私物化疑惑」が発覚したとすれば、どうなるでしょうか。非主流派グループが、改善や責任を追及しても、主流派は否定し続けます。そんな状況で、出勤して仕事を続ければ、会社の私物化に手を貸してしまうかもしれません。  そこで、非主流派がストライキに出て、株主たちに問題をアピールすることにしました。株主を味方につけ、主流派に是正と責任を迫るのです。他方、主流派は、非主流派が無理難題を口実に怠業しているとして、新規プロジェクトを始動させて、株主にアピールします。  現在の国会を会社に例えると、このようになります。
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世論が「審議拒否」の意味合いを変える
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