北海道は「関東」、富山は「近畿」!? 公営競技の「地区」は交通行政と密接に絡んでいた

北海道は関東?!

「北海道は関東」で正解な世界がある

 日本は様々な地方で区分けされるが、一般的なのは「八地方区分」と言われる北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州の地方分類だ。もちろん首都圏のような、関東とはまた違った範囲を指すものもあり、日本の分け方は様々だ。  だが、「北海道は関東だ」なんて言われたら、大半の方は「それは違うだろう」となるはずだ。  しかし「北海道は関東」というのはボートレースの世界では正解となる。さらに正確に言えば「北海道は東京と一緒」だ。

ボートレースの地区は「移動のしやすさ」がベース

 なぜボートレースでは北海道が関東で、しかも東京と一緒になるのか? その答えは「選手の居住地から最寄りのボートレース場に最短で移動できる場所がどこか」がボートレースでの地区割りに影響しているからだ。  ボートレース場は水面凍結の恐れがあるため北海道や東北には存在していない。  日本で最北のボートレース場は群馬県にある「ボートレース桐生」だが、直線では最短距離であっても、実際の移動となると一本では移動できない。現実的には飛行機で東京か新潟に出てから電車か、新幹線で大宮から乗り換えになるだろう。  そのため、北海道から最短で向かえるボートレース場は羽田空港に近い「ボートレース平和島(東京都)」になり、北海道は関東地区で東京都と一緒ということになるのだ。  実際に北海道に在住しているボートレーサー・熊谷直樹選手は、選手会の登録が「東京支部(関東地区)所属」となっている。また、東北地方に在住している選手の大半は、今度は「埼玉支部(関東地区)所属」になる。新幹線で大宮に出て、一番近い「ボートレース戸田(埼玉県)」にたどり着くためだ。  つまり、ボートレースでの地区概念は、この「鉄道・航空移動」のしやすさを基本に成り立っている。  日本の鉄道網や航空網による移動による合理的な区分けが、ボートレースの地区を切り分けている。
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競輪の場合は自転車=道路がベースになる
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