「日本版#MeToo」と見出しに打ったガーディアン紙
財務省、福田淳一事務次官のセクハラ疑惑に揺れる永田町。女性記者を相手に「胸触っていい?」などの発言をくり返していたことが4月12日発売の『週刊新潮』で報じられたが、福田事務次官本人はセクハラと認めず。同月18日には辞意を表明した。翌日にはテレビ朝日が記者会見を開き、被害者とされる女性が同社の記者であったことを明らかにするなど、騒動は大きくなるばかりだ。
この問題を受け、インターネットやSNS上では「記者のハニートラップだ」「なんでもかんでもセクハラにされたら、女性と仕事なんてできない」といった告発した記者を根拠なく誹謗したり、セクハラを擁護するかのような言語道断の言説が散見される事態に陥っている。
匿名の悪質な投稿だけでない。自民党の長尾敬衆院議員はセクハラ疑惑に抗議した女性議員たちを指して「セクハラとは縁遠い方々」とツイート(22日に投稿を削除して謝罪)。麻生太郎副総理兼財務相も「そんな発言されて嫌なら、その場から去って変えればいいだろ。財務省担当はみんな男にすればいい。触ってないならいいじゃないか」(『週刊文春』4月26日号)と発言したとされる。
さらに下村博文元文部科学相も講演で「隠しテープで録っておいて、テレビ局の人が週刊誌に売るってこと自体がある意味で犯罪だと思う」と述べるなど、福田事務次官を擁護するような声は少なくない。
今回の件ではメディアの報道も歯切れが悪く、トンチンカンな識者コメントに女性アナウンサーが顔をしかめるなど、日本社会全体のセクハラに対する認識がズレていることが一気に露呈した感じすらある。
では、このセクハラ疑惑を海外のメディアはどのように報道しているのか? 「安倍の力が低下し、セクハラ捜査が日本を揺るがす」との見出しで紹介したのは『
ウォール・ストリート・ジャーナル』。「歴史的な低支持率に動揺する安倍晋三首相は、アメリカへ旅立つ前日に新たな敗北を喫した」と始まるこの記事は、森友改ざん問題なども引き合いに出しつつ、「国民の安倍政権への不信感が支持率に表れている」と報じている。
『
CNN』は、『週刊新潮』がキッカケになったことや、福田事務次官のものとされる「手を縛ってもいい?」などの発言も細かく紹介している。さらに『テレビ朝日』の対応や、買春問題で辞任した米山隆一新潟県知事のことも併せて報道されていた。