「パチンコ自己・家族申告システム」運用とギャンブル依存症対策の課題とは?

約2万人の「安心パチンコ・パチスロアドバイザー制度」資格取得者

 前述の「自己申告・家族申告プログラム」とは別に、パチンコ業界における依存問題対策として、「安心パチンコ・パチスロアドバイザー制度」というものがある。  この制度は、依存問題に対する有識者を、パチンコ業界内に増やしていこうという制度で、具体的には、パチンコ店スタッフに対する専門的な講習を行い、受講した人には「安心パチンコ・パチスロアドバイザー」の「資格」を与えるというもの。  様々な論点があり、「有識者」といえども、その理解が大きく異なる場合もあるのがギャンブル依存症問題。  直近1年間で、ギャンブル依存症の疑いがあると言われる人は全国に70万人(生涯罹患者は約320万人)おり、その多くはパチンコに関係する人であることは容易に推測できる。その現場の最前線で働くスタッフたちが、依存問題に対する一定程度の理解と対応策を知ることは重要であるという考え方から、2017年よりこの制度の運用が始まった。  日本全国のパチンコホールのほとんどが加盟する全日本遊技事業協同組合連合会(以下、全日遊連)によれば、2018年4月5日までに、全国でこの「安心パチンコ・パチスロアドバイザー」の資格取得者数が19698人になったと報告された。平均して1店舗当たり2名の計算になる。今後も、この制度を積極的に活かし、1ホール当たり3名~4名の配置を目指している。  ギャンブル依存症問題が話題になる時、目の敵になるのがパチンコ業界であり、実際のところ、パチンコとギャンブル依存の関連性は深い。  しかし、一方で、パチンコ業界側の対策(パチンコ店を無くせ的なものではなく)が、周知されていない状況もある。  元をただせばパチンコ業界側の広報の問題もあろうが、筆者としては、遊技機の射幸性の低減などギャンブル等依存症対策としては何の意味もなく、地味で地道な活動だけが、実際に依存問題に苦しむ人たちを助ける事が出来ると考える。 <文・安達 夕 @yuu_adachi
Twitter:@yuu_adachi
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