カナダ首相とのトップ会談を公開したコスタリカ次期大統領の“就任前戦略”
国のトップ同士が“直電”で話す映像が公開され、話題を呼んでいる。来月就任する中米・コスタリカのカルロス・アルバラード次期大統領が、カナダのジャスティン・トルドゥー首相から受けた祝意を伝える電話だ。就任前の挨拶とはいえ、トップ会談の模様があけすけに公開されるというのは異例のことだ。
公開された映像はおよそ5分半。オフィスの椅子に座るアルバラード氏が、机の上に置いたスマホをスピーカーホンにしてトルドゥー首相と歓談する様子がネット上で公開されている。映像はトルドゥー首相に取り次がれるところから始まり、別れの挨拶で終わる。
トルドゥー氏は冒頭「ハロー、カルロス!」といきなりファーストネームで呼びかけた。
「ごきげんいかがですか、首相?」と返したアルバラード氏に「ジャスティンと呼んでください」と答え、冒頭からざっくばらんなムードに。米州機構加盟国ではジャマイカのアンドリュー・ホルネス首相(45歳)に次いで二番目に若いトルドゥー氏(46歳)は、同機構で最年少となるアルバラード氏(38歳)の就任にあたり、「強く若いリーダーの誕生」を歓迎した。
続けて、アルバラード氏は「カナダでは内閣のジェンダー比率を五分五分にしていますね。コスタリカでも史上初めて同じことをやろうとしています」と宣言。トルドゥー首相が男女半々で組閣したニュースが世界で反響を呼んだことを念頭に置き、後に続くことで注目を集めようという魂胆だ。就任前から如才なく話題作りに励むアルバラード氏の外交は、就任前から始まっているというわけだ。
トルドゥー氏も、「コスタリカはラテンアメリカや西半球で常に人権分野での先例となってきました。ジェンダー・イコール内閣はそれをさらに押し拡げるものとなるでしょう」と歓迎。同じ政策を持つ国が増えれば、国際社会での発言力も増すので、互いにとって利益となるからだ。
これは国内的にも重要な意味を持つ。同姓結婚を認めるか認めないかが、今回のコスタリカ大統領選挙の重要テーマのひとつだったからだ。この発言で、ジェンダー政策を進めるというメッセージを国内に送ることにもなったのである。
コスタリカはカナダの“あれ”を早速マネする!?
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