オーロラ・ステーションへの宿泊にかかる費用は1人あたり950万ドル(約10億円)で、これにはホテルへの滞在費のほか、ホテルまでの宇宙船の往復運賃や地上での訓練代なども含まれている。
950万ドルといえばプライベート・ジェット機や大型クルーザーより安いこともあり、俳優やスポーツ選手、石油王など、購入できる人は少なくないだろう。
また現在、ロシアも宇宙旅行を販売しているが、こちらは2000万ドルから4000万ドルもする。それと比べると半額以下なので、“破格”でもある。
ちなみにデポジット(手付金)は8万ドル(約860万円)で、すでに4か月分の予約が完売したという。ただ、解約は比較的自由で、払い戻しも受けられるため、予約した全員が今後、実際に950万ドルを支払えるかはわからない。
宇宙に浮かぶ豪華ホテルとはまた壮大な構想だが、建造はまだ始まっておらず、影も形もない状況なので、本当に2021年に打ち上げられるかはわからない。
おそらく最大の問題となるのは、ホテルまでの人と物資の輸送手段である、宇宙船とロケットをどう確保するかということだろう。
現在、イーロン・マスク氏率いるスペースXと、大手航空宇宙メーカーのボーイングが新しい宇宙船を開発しており、両者とも従来の宇宙船より低コストに運用でき、宇宙旅行にも使えると謳ってはいる。
しかし、NASAなどはこの宇宙船に1人あたり10億円ほどの運賃を支払う予定で、もっと価格がこなれない限り、オライオン・スパンが掲げる「打ち上げと滞在込みで10億円」という滞在費は実現できそうにない。
宇宙ホテルを建造することや、それを打ち上げることはそれほど難しくはないが、ホテルまでの足がなければ、山奥や絶海の孤島に建つホテル以上の、誰もたどり着けない秘境になりかねない。
オーロラ・ステーションの想像図 Image Credit: Orion Span