すでに裁量労働制で働く人も騙されちゃダメ! 裁量労働制にまつわる6つの誤解

●誤解4 裁量労働制なので、1日の労働時間が仮に1分間だったとしても満額の賃金が支払われる  裁量労働時間は実際の労働時間にかかわらず、みなし労働時間によって、一定の給与が支払われる給与制度になっていますので、理屈の上では、そういうことになると言えると思います。  ただし、賞与なども含めた賃金総額が変わらないということではありません。1日の労働時間が1分間でパフォーマンスが下がらなければ問題はありませんが、パフォーマンスが下がってしまっては業績連動賞与が下がるということも、当然あるわけです。 ●誤解5 裁量労働制なので、決められた時間の定例会議に出席する必要はない  これも誤解です。裁量労働制といえども、他のメンバーと協力して、忠実に業務に取り組まなければなりません。  裁量労働制であろうと、そうでなかろうと、他の業務の都合で決められた定例会議に出れない時もあるでしょう。しかし、それが裁量労働制だからといって、優遇されたり、特別な取り扱いを受けるわけではありません。  就業規則の懲罰規程に、程度の差こそあれ、他のメンバーと協力して、忠実に業務に精励しなかった場合に、懲罰の対象になることが規定されている企業がほとんどだと思います。  裁量労働制だから、決められた会議に出る必要がない、他のメンバーに協力しなくてもよいと誤解していましたら、懲罰の対象になってしまいかねませんので、注意が必要です。 ●誤解6 裁量労働制の人は、勤務時間が長くなる/短くなる  裁量労働制なので勤務時間が長くなると思っている人もいれば、逆に、短くなるという人もいるでしょう。衆議院予算委員会で、「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」と安倍首相が答弁しましたが、そのデータが誤っていたという事態が発覚し、国会提出が先送りされることになりました。  私の経験では、裁量労働制になって、結果的に、労働時間が長くなる人もいれば、短くなる人もいるということが実態だと捉えています。裁量労働制なので、決まって長くなる/必ず短くなるというものではないと思います。  そもそも裁量労働制は、労働時間を長くしたり、短くしたりする目的の制度ではなく、業務の性格に応じて、勤務時間を柔軟に設定して社員の裁量で運用していこうという制度です。ですから、勤務時間を長くしたい、短くしたいという目的で裁量労働を利用しようとしても目的は適えられないのです。  今回は、裁量労働制の6つの誤解を取り上げました。誤解して間違った運用にならないように、会社も社員も留意しながら柔軟な勤務形態の実現と社員の裁量の確保という本来目的を享受していきたいものです。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第76回】 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある。
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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チームを動かすファシリテーションのドリル

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