ロンブー田村淳の青学受験はスラッシュビジネスパーソンのモデルだ

abemaTVサイトより

田村淳を袋叩きにする役人根性

 ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが、青山学院大学を受験して、全ての学部に不合格だったということが報道されました。ネットのコメントは、「真面目にやっている受験生の枠を減らすな」「合格しても通学しないのなら他の学生に迷惑をかけるな」「どうせ話題作りのだめだろう」「本気で合格したいのなら仕事をやめて受験勉強に専念しろ」「大学受験はそんな甘いものではない」…と、田村淳さんは、まるで袋叩きにあっているかのようです。  田村淳さんと、文化放送のラジオ番組「ロンドンブーツ1号2号田村淳のニュースクラブで」で共演しましたが、私にはどう考えても、今回の受験は、袋叩きにするなどもっての他で、称賛すべきこととしか思えてなりません。  ネットでの批判は、「大学受験は、高校3年生や浪人生が受験すべきもので、社会人、それも有名人が受験して高校生や浪人生の機会を奪うな」という論調のようです。私には、これは、既得権益をかざしたり、縄張り争いをしたりしている老政治家か役人の発言とだぶって見えてしまいます。  それはまるで、少数派の存在を認めようとしない多数派、変わり者を淘汰しようとする標準的な中流層による、いじめのようです。受験資格があれば、誰でも受験できるわけで、大多数を占める高校生や大学生ではないからといって、批判しているようなものです。  大学受験はそんな甘いものではない、仕事をやめて専念しろ……という考え方がはびこっているようです。ひとつのことを狭く深く成し遂げようとすることを、全て否定するつもりはありませんが、同時に複数のことを実現しようとする取り組みにも大きな意味はあるように思います。

門外漢のテーマにチャレンジする意味

 私が通学していたサンパウロ大学法学部の学生は、私も含めて全員が仕事をしながら通学していました。中国ではスラッシュ青年(※参照:『中国で台頭する「スラッシュ青年」は、虎視眈々と一夜暴富を狙う』)というフレーズがあるくらい、A/B/Cといったようにさまざまなことを同時に取り組んでチャレンジすることが、若者たちの間で一般的になってきているようです。  まさに、田村さんはタレントとして活躍しながら、大学受験にチャレンジしている、スラッシュビジネスパーソンのモデルなのです。それも、得意分野でチャレンジしているわけではないのです。逆に全くの不得意分野にチェレンジしているわけです。そこに大きな意味があるように思えてなりません。  ラジオ番組で対談した際のテーマは、ビジネスパーソンの働き方改革や能力開発に関するものでした。田村淳さんからみれば、全く門外漢の分野だったに違いありません。  しかし、話が進む度に、田村淳さんとマネジャーとの間のビジネスの進め方に照らしたり、所属する吉本興業でのビジネス実態を引き合いに出したりして、即座に反応してくれました。少なくとも得意分野ではない領域に、これだけ強い関心を持ってチャレンジしている姿に、心底驚きました。
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淳さんの心意気こそ今の日本人が持つべき
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