宇宙から全世界にインターネットをつなぐ! イーロン・マスクの狙いとは?
また、宇宙からインターネットをつなげようと考えているのはスペースXだけではない。じつはスペースXはこの分野では後発にあたり、すでに衛星開発などで先行している企業がすでにある。
そのうちの一社「ワンウェブ」には、コカ・コーラやクアルコムなどの大手企業が出資しており、一昨年にはソフトバンクグループが約10億ドルを出資したことでも話題となった。ワンウェブは早ければ今年から、実際に運用を行うための衛星を打ち上げることを計画している。また、米国の大手航空宇宙メーカーであるボーイングなど、同じような計画を考えている企業はいくつもある。
つまりスペースXは、スターリンクの技術面、ビジネス面での課題を解決すると共に、同業他社との競争もこなさなければならない。
また、先行するワンウェブなどにもいえることだが、そもそも宇宙インターネットが技術的、ビジネス的に成立、成功するかも見えていない。たとえば数千~1万機もの衛星をどのように打ち上げ、運用し、そして維持し続けるのか、あまり豊かではない開発途上国でどのように利益を出すのかなど、多くの課題がある。また、既存の通信会社との競争にもさらされるだろう。
スターリンクをはじめ、宇宙インターネットに大きな可能性があること、実現する見込みがかつてより大きくなっていることは間違いないが、実際にものになるかどうかはまだわからない。
<文/鳥嶋真也>
宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュースや論考の執筆、新聞やテレビ、ラジオでの解説などを行なっている。著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)など。
Webサイト: http://kosmograd.info/
Twitter: @Kosmograd_Info(https://twitter.com/Kosmograd_Info)
【参考】
・PAZ MISSION | SpaceX(http://www.spacex.com/news/2018/02/22/paz-mission)
・PAZ Mission press kit(http://www.spacex.com/sites/spacex/files/paz_press_kit_2.21.pdf)
・FCC – QUESTION 7: PURPOSE OF EXPERIMENT(https://apps.fcc.gov/els/GetAtt.html?id=185534&x=.)
・Chairman Pai Statement on SpaceX Satellite Broadband Application | Federal Communications Commission(https://www.fcc.gov/document/chairman-pai-statement-spacex-satellite-broadband-application)
・SpaceX Indicates Satellite-Based Internet System Will Take Longer Than Anticipated – WSJ(https://www.wsj.com/articles/spacex-indicates-satellite-based-internet-system-will-take-longer-than-anticipated-1519227620)
宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュース記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。
著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)があるほか、月刊『軍事研究』誌などでも記事を執筆。
Webサイト: КОСМОГРАД
Twitter: @Kosmograd_Info
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