前述した伊藤忠商事の「服装改革」の歴史は古く、1995年春にはカジュアルフライデーをいち早く取り入れています。そして、さらなる「働き方改革」のアクションとして、2017年6月に「脱・スーツデー」を導入しました。これはジーンズ&スニーカーまで許容する大胆な施策です。
もちろん、ジーンズブランドEDWINを抱える伊藤忠商事だからこそ、ジーンズのオフィス活用による需要拡大の流行を狙っているという意図もあるかもしれません。それでも、その後、いくつもの上場企業がカジュアルフライデーをこっそりと取り入れています。
実際、2018年に入って、私自身もカジュアルフライデー導入に向けたドレスコードの選定やコンテンツ制作の依頼を受ける機会が増えてきました。会社が旗を振っているとはいえ、なぜ、これほどまで脱スーツの動きは浸透しているのでしょうか? そのカギが働く世代の人口変化にあると私は見ています。
2004年にクールビズが導入されてから14年が経ちました。つまり、入社14年を迎える36歳までの若手社員は入社時期からクールビズを知っているネイティブ世代なのです。常にスーツにネクタイを絞める着こなしではなく、季節・必要性に応じて着こなしを変えてきた世代なのです。
このような身だしなみに対する意識が高い若手ビジネスマンが増えてきたからこそ、カジュアルフライデーのような施策が想像以上に加速しているのではないでしょうか? また、バブル世代を経験したお洒落にこだわりあるビジネスマンが役員になり、このような社内施策を積極的に取り入れているという環境もあるかもしれません。
いずれにせよ、スーツを着ていればOKという時代は徐々に終わりに近づいています。では、これからのビジネスファッションで注意すべきポイントはどこにあるのでしょうか。最後にその着こなし術についてお教えします。