そして、KADOKAWAが残りの89億円を投じて建設する建物こそが、同社が「日本最大級のポップカルチャーの発信拠点」とする集客施設だ。
施設の核となる「角川ロックミュージアム」(角川文化振興財団が設置・運営)は、図書館・博物館・美術館を複合した世界初の「三位一体型文化施設」。建物の設計は新国立競技場のデザインを手がける建築家の隈研吾氏が担い、施設のプロデュースには編集者の松岡正剛氏(図書館)、博物学者の荒俣宏氏(博物館)、美術評論家の南條史生氏(美術館)といった錚々たる面々が参画する。
そのうち、目玉となる図書館には、角川グループ刊行本を中心とした35万冊の書籍、マンガやライトノベルなどが収蔵される。
イベント施設「ジャパンパビリオン」には、スタンディング最大1,800人、座席700人を収容する多目的ホール「Aホール」と、固定椅子席200人定員で映画も上映できる「Bホール」の2つのホールが入居。用途としてはアニメ作品のコンサートや声優のトークショー、新作発表会、アニメやゲームを基にした作品を俳優や声優が演じるいわゆる「2.5次元ミュージカル」などのサブカル系イベントのほか、ハロウィーンやクリスマスなど地元住民向けのイベント開催も想定されている。
書籍・グッズ販売の「ダ・ヴィンチストア」では、隣接する物流倉庫からKADOKAWA刊行の書籍を直接供給することで、品切れのない書籍ラインナップを実現。併設されるカフェではマンガやアニメ作品とコラボした料理を提供するほか、サイン会やトークショーといったイベントも開催される。
施設には約30室の「ホテル」(名称未定)も併設され、そこではサブカル作品の世界観を再現したサービスを想定。この他にも、地元の採れたて果物・野菜などを提供するフードコートや商店街も整備される予定で、サクラタウンは「サブカル」と「ローカル」が融合した「唯一無二の施設」とし、イベントが開催されていない期間は地元からの集客を見込むというユニークな計画だ。
KADOKAWAが「日本最大級のポップカルチャーの発信拠点」と謳う集客施設は、サブカルだけでなく地元密着な“ローカル”要素も取り込む。(画像は所沢市民ワークショップ資料より)
アニメ業界関係者などが作成した「アニメ聖地88カ所」でも、サクラタウンはその「一番札所」として早くも内定済みだという。このアニメ聖地88(2018年版)の公表時には、KADOKAWA作品の聖地が半数近くを占める点など選定基準の不透明さがネット上で指摘されたが、この「一番札所認定」がサクラタウンの集客にどれほどの好影響を及ぼすかも注目される。
開業後のサクラタウンは物議を醸した「アニメ聖地88カ所」の一番札所として内定済み。どれほどの集客に繋げられるだろうか。(COOL JAPAN FOREST公式パンフレットより)