スーツとジャケパンでは最適なジャケット丈が異なることをご存知でしょうか?
同一生地で織られたスーツに比べ、上下が異なるジャケパンの場合、求めれられるジャケット丈は通常より2~3センチ短いのです。
同一生地で重厚感を印象づけたいスーツに対し、上下異なる生地によって軽快さを印象づけるジャケパンでは丈のベクトルが異なります。だからこそ、スーツジャケットの丈のままではジャケパン特有の軽快さが失われ、重い印象に見えがちなのです。
実際、いつものスーツジャケットを生地が異なるスラックスに合わせてみてください。必ずやジャケット丈が長いと感じるはずです。もし、バランス良く見えてしまうならば、そのスーツジャケットはスーツジャケットとしては短すぎるということになります。
一方、スラックスの最適丈はスーツ、ジャケパンどちらの場合も変わりません。ただし、1990年代に比べ、今日のスラックス丈は短くなっています。
1990年代頃のスラックスの裾幅は21~23センチ程度でした。ところが、昨今ではスラックスの裾幅が細くなったことに伴い、18~19センチと細幅が主流なのです。この細幅のスラックスは長い丈と相性がよくありません。余った生地が足元に不要なシワを作るからです。
だからこそ、スラックス丈は立っている状態でクッションと呼ばれるシワが小さく1つできる程度、また、座った状態でソックスがチラッと見える程度が理想的です。スーツショップで購入する際は、必ずこの点をチェックするようにしてください。
スーツと、ジャケパン。ビジネスファッションのスタンダードが2つに分かれた今、とりあえずスーツを着ることが正解ではなくなりました。どちらが正解というわけではなく、それぞれの服装ルールを理解して着分けることが今、すべての人に求められているビジネスファッションだと私は見ています。
こんな時代だからこそ、ビジネスファッションは、すべての人に求められるビジネススキルのひとつと言っていいのではないでしょうか。
<文/森井良行>
【森井良行】
株式会社エレガントカジュアル代表取締役。’79年 千葉県出身。服のコンサルタント、「プロの目線でユニクロも好印象!」をモットーとして、のべ4000人を超えるビジネスマンの買い物に同行。公式サイト「
エレカジ」にて、自身がリサーチしたアイテム情報など随時更新中。上場企業から「営業マンのための印象研修」を請け負っている