一方でネックとなるのは、試合運びや戦術に関して。2月10日には、スイスとの第1戦が迫っており、何しろ時間がない。
1試合当たり、少なくとも3人以上の北朝鮮選手が出場しなければならないため、韓国側が準備した戦略を北朝鮮選手がいかに習得できるのかが、勝利のカギを握っている。
そしてモーリー監督は試合の戦術を説明する際にも、協調性向上との相乗効果を忘れない。北朝鮮選手一人につき、韓国選手2~3人がサポートについて、詳しい説明を行うことで理解を助ける。
練習場にある選手用の個人ロッカーの並びをも「韓国・韓国・北朝鮮・韓国・韓国・北朝鮮」順に配置し、韓国選手の中に北朝鮮選手を入れることで、互いに協力しあうことを徹底した。
結果、選手たちは練習前のストレッチや、装備を着用するときに自然に対話ができるようになり、チーム合流後のぎこちなさは早々と消えた。
北朝鮮選手らは合同チームに合わせ、スケートとスティック、ヘルメット、保護バンドやトレーニングウェアなど、装具も刷新している。
宿泊施設や飲食、スケート場や装備管理まで環境がこれまでと変わったことで、練習意欲を一層引き立てている。心配された南北選手間のコミュニケーションもよく行われており、今回の合同チームを結成したことで、各国戦力以上のシナジー効果につながるか、期待が高まっている。
モーリー監督は22日に行った記者会見で「北朝鮮選手らは守備中心にプレーできるようだ。しかし、彼らに反して、韓国側の選手が手を抜けば、試合当日に何が起こるのかは全くわからない。逆もまた、然り」と冷静に選手らを評価する姿勢を明らかにしている。
日程も迫り、厳しい環境で発足した南北女子アイスホッケーチーム。
一方、1次リーグで南北合同チームとの試合を控える、アイスホッケー女子日本代表。連日行われている国際壮行試合では、第3戦で格上のチェコ相手に1-0で勝利を遂げており、3連勝中。五輪の舞台でのメダル獲得に弾みをつけている。
南北合同チームとの一戦は2月14日。両国ともに選手、コーチ陣が一丸となり、最高の舞台での一戦に備えている。
<文・安達 夕
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