新人研修、リーダー研修、コンプライアンス研修……。これを読んでいるみなさん、これまでさまざまな研修に参加してきたに違いありません。
しかしながら、研修に参加した多くの人に「楽しいと思いましたか」「わくわくしましたか」と聞いてみると、「退屈だった」「苦痛だった」「眠さをこらえていた」という真逆の本音が帰ってきます。
たとえば以下のような本音が返ってきます。
《研修に参加した人の本音》
「講師は会場の隅の演台で静止して説明しているだけで、お経を聞いているようだった」
「難しいことを難解な言葉で解説しようとして、頭に入ってこなかった」
「偉い学者がこう言っている、過去の偉人がこう言っていると引用ばかりだが、その学者や偉人を知らないので、ピンとこない」
ビジネスパーソンの表現力向上プログラムを実施しているグローバルトレーニングトレーナーである私のもとには、日々こうした声が鳴りやまないのです。
もしも解説だけの研修に直面したら、説明が難解だと思ったら、引用が多数されていたら、そのような研修には出ないほうが良いです。万が一、参加してしまったとしても、内職でもしていたほうがマシです。なぜならこのような研修は、決して身に付きません。
今回は参加してはいけない研修の見分け方と、あなたが講師の場合にできる対処法についてお話します。
企業内研修については、参加者たちの「理屈は学んだけれども、行動で再現できない」「理論は勉強したが、ビジネスにどう役立てればよいかわからない」という不満の声をよく耳にします。それも20年来にわたってです。
それはある意味、仕方がないことでもあります。なぜなら難解な解説と引用をしているだけの講義だけで、行動への反映やビジネスへの応用ができるはずがないのですから。しかも、研修中に行われる進行自体が、参加者の意欲をこれでもかというくらい下げているのです。
特に私が問題視しているのが、研修の冒頭で、研修の進行役からの「注意事項」が延々と、長いものでは10分間もの説明が行われることです。
《研修の冒頭でよくある怒涛の注意事項》
・受付で出席チェックしたことの確認
・資料の確認
・休憩時間の確認
・トイレの場所の説明
・喫煙場所の説明
・携帯電話をマナーモードにする
・通話は会場を出て行う
・PCを閉じる
・関係ない資料はしまう
・質問があれば、最後にまとめて行う
研修の進行役は親切心から実施しているのかもしれませんが、こういった説明をひとつするごとに、参加者の意欲は1レベルずつ下がると思ったほうがいいでしょう。
10項目もの注意事項を聞かされた後には、もはや、意欲はほとんど消滅した状態で研修がスタートすると言っても過言ではありません。親切心から実施している注意事項の説明が、参加者をあきれさせていて、それを知らぬは研修主催者だけなのです。