先ほど進行役からの注意事項の紹介をしました。では、これらを聞かされるたびに、参加者はどのように思うのでしょうか。私なりに考えた本音はつぎのとおりです。
・受付で出席チェックしたことの確認
【参加者の本音】→(自分も含めてほとんどの人はチェックしましたよ。チェックしていない人がいれば個別に確認すればよいのでは?)
・資料の確認
【参加者の本音】→(足りなかったら、その時に取りにいきますよ)
・休憩時間の確認
【参加者の本音】→(案内のメールにスケジュールが書いてありましたからわかっていますよ)
・トイレの場所の説明
【参加者の本音】→(通路に案内板がありましたから、わかっていますよ)
・喫煙場所の説明
【参加者の本音】→(ビルの入り口にありましたから、わかっていますよ)
・携帯電話をマナーモードにする
【参加者の本音】→(言われなくてもやっています)
・通話は会場を出て行う
【参加者の本音】→(当然のマナーです。マナーを守れないと思われているとすれば心外です)
・PCを閉じる
【参加者の本音】→(PCでメモを取りながら受講したいのですが)
・関係ない資料はしまう
【参加者の本音】→(学校じゃあるまいし、参考資料は机に出しておきますよ)
・質問があれば、最後にまとめて行う
【参加者の本音】→(その都度、質問してはいけないのですか)
注意事項が説明されるたびに、参加者は抵抗感を持ち、しまいには、あきれ果ててしまいます。そんな状況でスタートする研修が効果を発揮するとは到底思えません。
研修進行役は一度、注意事項の説明を一切しないで、研修をスタートしたらいいでしょう。注意事項を一切説明しなくても、全く困らないことに気づくはずです。事実、私は、注意事項の説明を一切説明しませんが、困らないどころか、逆に、参加者の意欲を低下させることがないので、得策だと確信しています。
そもそも出席チェックは必要なのでしょうか。チェックすること自体が参加者の意欲を下げてしまいます。
同じように参加者の意欲を大幅に下げるのが、会場の後ろにデンと座っているお偉いさんや人事部の重鎮の方々です。背面管理されることほど気持ち悪いことはありませんし、そのような状況で意欲を高めて研修に参加しろと言う方がおかしいのです。
資料は足りなければ参加者が取りにいけばいいです。案内表示があるものはあらためて説明する必要はありません。
携帯電話やPCや他の資料は、私は「逆に使いたくなったらどうぞお使いください」と言います。そのように申し上げて、緊急の要件で会場の外に出て携帯電話を使う人を除いて、使う人はいません。内職をしたくなるような研修だったら、それは研修講師の問題なのです。内職をする気持ちも起きない、する暇もない研修をすればよいだけの話ですよね。
質問はまとめて行う必要があるのでしょうか。随時行えばよいではないか。それは、堅守講師のファシリテーション力の問題です。参加者にああしろ、こうしろと指図することは一切しないこと、これが参加者の意欲を下げない鉄則なのです。