中国の報復措置、北朝鮮ミサイル問題で韓国の観光事業は壊滅的ダメージ
また、2017年は円安、ウォン高の影響も大きい。100円のウォン価値は2015年以降最も低い、964.1ウォン(12月5日基準)だ。
これに合わせ日本財務省と観光庁は、免税範囲拡大を行い、外国人が日本で購入した物の値段を合わせた金額が5000円(約4万9000ウォン)を超える場合には最大50万円限度内で消費税(8%)を免除する案を推進している。
韓国では空港や市内の免税店など大規模な事前免税店(duty free)を中心に運営しているが、日本では付加価値税と消費税を払い戻される「中小規模の事後免税店(tax free)」が大多数だ。
なお、日本の2017年9月までの訪日外国人による旅行消費額は、およそ3兆2700億円(約32兆ウォン)で史上最高値だという。(参照:
国土交通省観光庁資料)
一方で、来年2月には平昌(ピョンチャン)冬季五輪の開催を控えているにもかかわらず、韓国の観光産業は依然として苦しい。大型連休を制定しても海外旅行者ばかりが増え、国内旅行者は減少している。
韓国銀行によると2017年10月までの旅行収支の赤字は139億2000万ドル(約15兆ウォン)にも達する見込み。
2017年は迎撃ミサイルシステム「THAAD」配備に対する報復措置として、中国政府が韓国旅行を規制したことを皮切りに、北朝鮮の核問題などによって観光産業が壊滅的な打撃を受けている。
韓国の専門家は「日本の観光産業の成功要因は、外国人観光客を地域発展の起爆剤としたことにある」と分析する。旅行者に消費と合わせた「お得感」を与えることで、各国から観光客を集め、売上を伸ばし、地域の店舗を育てながら、景気活性化への好循環サイクルを作りだしたと話す。
また、業界関係者は韓国政府が年内に新設する「国家観光戦略会議」についても、残念さを隠せない。
当初、国を挙げての核心分野として観光産業を振興させるべく、文大統領が直接主導する機構として立ち上がったが、この度、イ・ヘチャン首相主催の機構に格下げされた。
機構を運営していくにあたり、省庁間の互いに異なる見解を急速に調整することは難しく、予算や人材確保など、政策推進力でも大統領と首相とでは力量差は明らかだ。
日本では安倍首相主導のもと、「観光立国推進閣僚会議」が設置され、観光産業が活気づいているだけに、「自身主導のもと、観光産業を強く支援した安倍首相のリーダーシップがうらやましい」との声もでている。
<文・安達 夕
@yuu_adachi>