首都最大の観光名所として知られるワルシャワ歴史地区王宮
「ヨーロッパの他国で乗り換えると国内旅行扱いになるため、なかなか実数を把握するのは難しいですが、ポーランド中央統計局が出しているデータでは、‘14年に5万人を超えました。その後は’15年に約5万2000人、直行便が運行し始めた去年は約6万6500人、26.6%増となっています。より実数に近い宿泊者数を見ると、’14年で約9万9000人、’15年に初めて10万人を超えて、約10万3000人。昨年は約12万2900人。週5便に増える来年は、この数字がさらに上がると思います」
昨年度のヨーロッパの航空会社全体の日本/ヨーロッパ線でのLOTのシェアは上半期1.2%、下半期1.4%と、小規模なのが現状だ。昨年9月から運休していたオーストリア航空(来年5月から再開)の穴を埋めていたとはいえ、航空会社としても市場としても、まだまだポテンシャルはあるはずだ。ワルシャワ/東京線の利用者について、ワタ氏は次のように分析する。
「日本からポーランドへ行く場合では、圧倒的に団体旅行、つまり観光客が多いです。ただ、最近ポーランドへの投資も増えつつあるので、ビジネス目的で訪れる人たちも数は増えつつあります。個人的な感触としては2割程度がビジネス目的だと思います。ポーランドから日本に来る場合は、9割近くが観光客ですね。日本に投資するポーランド企業は限られていますし、LOTのポーランド国内での宣伝キャンペーンを見ても、日本への観光客への招致に力を入れています」
訪日ポーランド人の数は’10年の約6000人が、’14年には約1万3000人、’15年は約1万8000人と増え続けている。直行便の誕生とポーランド国内のPRの効果により、’16年には約2万5000人と大幅に増えている。
また、単純な数字上の増減だけではなく、ポーランドに向けて旅立つ日本人観光客の変化について、ワタ氏は次のように指摘する。
「日本からポーランドへ飛ぶ直行便を利用するツアー客の年齢層はご年配の方が圧倒的に多くなっています。以前、直行便がなかった頃は、ハイシーズンといえばやはり初夏から夏場で、パッケージツアーはこのシーズンの商品が主力になっていました。今もその名残はありますが、直行便が運航してからは冬の商品も出てくるようになりましたし、4~5年前に比べれば、各地のクリスマス市やザコパネ(南ポーランドの山岳リゾート地)のような冬のリゾートに行かれる個人旅行者も増えています」
直行便の誕生、そして増便によってビジネスや投資面での期待もあるが、ポーランド側としては旅行客の増加にも自信を持っているという。
「ヨーロッパの中でも、ポーランドはまだまだ観光国としてのポテンシャルを秘めています。日本ではまだ未発見の状態の素晴らしい観光地やアトラクションも多い。それに加え、安全性や国としての安定感も高いのです。リーマンショックのときでもポーランドはEUのなかで唯一、経済成長がマイナスに落込まなかった国で、経済的な安定によって治安も良好になってきている。テロの心配もまずないですし、観光客が巻き込まれるような大きな事件も起きていません」