高層ビルの窓拭き職人から資産1億円の専業トレーダーに――何が彼を変えたのか?

太いラインのブレイクを確信して買えた理由は?

 こうしたダマシの活用はd-sk氏の得意パターン。いったん売りポジションがたまったあとのV字上げは、売り手の損切りを巻き込んでいくため、上がりやすくなる。上昇相場で売り手のポジションを掃除しながら利益を抜いていく、いわば「窓拭きスキャル」だ。 「買いやすいのは『売りが入ったけど上がっている』という状況。のべーっとただ上がってきただけのときは買いにくい。雇用統計直後のV字は売り手と買い手の攻防があって、売りが入ってからの上昇やったから、超絶ロング狙い。せやけど114円40銭は日足レベルの太いライン。そう簡単には抜けへん。この日はいったん止まるやろ、と。その手前の114円20銭ブレイク、114円40銭リミットのイメージでしたね」  この言葉通り、114円40銭がレジスタンスとなって決着は翌週へ持ち越し。すると月曜日から相場が動いた。「雇用統計でのV字があったので、この日の方針も『本日ロング』。しかも日足を見ると、113円の押し目を触ってから上がってきて、金曜日の雇用統計はV字の上げ。114円の押し目も触ってからの上昇だったので、114円40銭のブレイクに必要な条件は揃ったな、と。金曜日と同じく114円20銭の節目での攻防に注目してそこの決着がついたら、ブレイクしにいくやろって朝から考えていました」  1本調子に上がるよりも、いったん売りと思わせる「ダマシ」を挟んだほうが上がりやすい。 「114円20銭は多少売りも入りましたけど、大して下がらんかった。この時点でロングです。日足の太いラインである114円40銭をブレイクすれば20pipsくらいは跳ねるやろって、大きめに狙っていました
【値動きに応じたスキャルで利益を狙う】

【値動きに応じたスキャルで利益を狙う】日足がレンジとなり明確な方針が決めにくい中、突然の急落。初動には間に合わなくとも、冷静に戻りを待って売り。下落再開後にポジションを増して、3日前の安値をターゲットに利益確定。「見せられるトレードじゃない」とd-sk氏は謙遜するが、お見事だ!

 金曜日と同じ114円20銭での買いだが、違ったのはいったん114円20銭での攻防を挟んだこと。この攻防でたまった売りがブレイクへの起爆剤と読んだ。そして思惑どおり、114円40銭をブレイクするとストップを巻き込んで20pips以上も一気に上げた。 「太いラインを抜けるとストップを巻き込んでグググっていく。こういう太いラインは難しくない。ただ、今年はわかりやすいチャンスが少ない。今朝も中途半端な位置からの急落だったので、入るのが遅くなってしまった」

今年の利益2000万円も満足してはいけない!?

 そう後悔するものの、急落後の戻り売りエントリーで利益をあげている。 「今年はチャンスじゃないところで手を出してもうて金にならへんっていうのがけっこうある。今年の収益もまだ2000万円程度。思ったほどじゃないですね」  すでに億を達成し、今年も2000万円の利益をあげているのなら充分に思えるのだが……。 「億といっても小銭をかき集めてつくっただけ。『これで満足するか、もうワンステージ上にいくか』というところで、仲間はみんなワンステージ上にいっとる。高級住宅街に豪邸を建てた仲間もいる。自分もそっち側に早くいかなあかんな、と。今年はFXだけでなくバイナリーオプションの比率を増やしているし、ビットコインも始めた。来年は本格的にビットコインを研究せなあかんなと」  来年のd-sk氏はビットコインを踏み台にしてもう一段、上のステージへ上がっているかもしれない。まだFXで儲けたいという人は、窓拭きスキャルをぜひ試してみて。
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