「モール反対」で自治体とイオンが対立! その突破口はイオンによる「行政のお荷物解消」だった
2017.12.06
「観光客は富士山へ行き、地元客はイオンへ行く」――。
11月23日に増床リニューアルオープンを迎えた山梨県最大のショッピングモール「イオンモール甲府昭和」(昭和町)は連日多くの地元客でごったがえしており、まさにそういった謳い文句が聞こえてきそうな状況だ。
しかし、全国各地で巻き起こるイオンの出店をめぐる行政や中心商店街との対立はここ山梨県でも同様だった。2011年の開業以前から今回の増床に至るまで、イオンモールは「商圏の破壊者」として県や周辺自治体からの猛反発を受け続けてきた。
そうしたなか、イオンが反対派をかわすことができた大きな要因は、イオンモールが「行政のお荷物解消」を買って出たことだった。
甲府都市圏のベッドタウンである山梨県昭和町へのイオン出店計画が明るみとなったのは2000年代半ばのことであった。
イオンが出店を計画したのはJR甲府駅から南西約7kmほどの場所で、当初は山梨県最大となる店舗面積4万8000㎡の巨大ショッピングセンターを建設する計画であったが、2007年1月に甲府市中心部の活性化を公約に掲げていた横内正明氏が山梨県知事に当選。「昭和町にイオンが出来れば甲府市中心部の衰退を加速させかねない」との考えから、横内知事はイオンに対して計画の見直しを求めた。
知事の動きに賛同するように、同年3月には甲府商店街連盟が計画反対派4万5000人の署名を集めたが、翌4月には出店先である昭和町で計画推進派による5万人以上の署名が集まるなど、利害関係者の意見は真っ向から対立。最終的にはイオンは山梨県との協議により、当初計画から4割減となる2万8000㎡の店舗面積で「イオンモール甲府昭和」を2011年3月に開業させることとなった。
これは、当時山梨県で最大の商業施設であった地場百貨店「岡島百貨店」の店舗面積(約3万2000㎡)を大きく下回る規模であり、店舗面積4万8000㎡での開業を前提にしていたイオンモールにとってみれば当初計画の6割以下の面積となったことは「大」がつくほどの誤算だった。
開業翌年の2012年、イオンモールは山梨県に増床計画を提出し、本来目指していた店舗面積4万8000㎡での再出発を図ろうとした。
しかし、これにはかつて建設計画の見直しを要求した山梨県をはじめ、甲府市、中央市、甲斐市、南アルプス市といった昭和町を囲む自治体が猛反発。まさに「四面楚歌」の状況に追い込まれたイオンモールは、2012年11月に増床計画の中止を強いられることとなった。
山梨最大の巨大イオン計画、反対運動で「大幅縮小」に
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