中韓のこのような動きによって、民間レベルでも関係の改善が行われている。
中国の航空会社である春秋航空が、韓国・済州島への定期便の再開を明らかにした。
10月31日から、上海-済州島路線を週に3回運航する。春秋航空は、今年の7月から済州島への渡航客が減少したことを理由に定期便の運航を中止していたが、これは中国当局の訪韓規制の影響によるもの。
中止されていた中韓の定期便が再開されれば、韓国の観光産業にも復活の兆しが見える。
両国の旅行関係者たちは、中国と韓国の外交気流の変化に敏感になっており、国家間の冷え切った関係が改善されれば、民間レベルでは商機が訪れる。中国人観光客の消えた韓国の観光地に、年明けの春節(中国の正月)には再び中国人が大挙して訪れる可能性も低くない。
このような空気感は、韓国の大手企業も敏感に感じている。
免税店やホテル、百貨店等の分野で大きな被害を受けたロッテグループ関係者は、「韓国と中国の関係が好転しているという信号が様々な場所で感知されている」とし状況の変化に期待を膨らませている。
中国での自動車販売が急落していた現代グループでも、「2月以降の状況は本当に痛い期間であった。しかし『雨降って地固まる」の言葉の通り、今の氷解雰囲気を、両国関係を更に発展させる切っ掛けにしてほしい」とコメントし、「両国の経済関係の完全なる正常化に期待する」とした。
中国政府の補助金対象から外れた、サムスンSDIやLG化学等の企業も「今は大きな変化はないが、両国の関係が改善されれば、変化は必ず起きると信じている」とした。
共産党大会を終え、新たな執行部による出帆に合わせ、中国と韓国の関係が「協力」へと大きく舵を切り始めた。中国とアメリカの2つの大国の狭間で、国益をどうとらえ、どうバランスを取りながら実を得るのか。韓国の動きは、日本の外交にも少なからず影響を与えるだろう。
<文・安達 夕
@yuu_adachi>