破綻したエア・ベルリンはルフトハンザが買い取った。photo by Aero Icarus via flickr (CC BY-SA 2.0)
人口5億人を擁するヨーロッパの航空業界は、各国を代表するフラッグキャリアなどの一般航空に加え、30数社の格安航空が利用客の奪い合いで凌ぎを削っている。
燃料となる石油価格の下落が航空料金の価格競争をより激化させており、それに耐えられない航空会社が破綻している。実際の会社名を挙げると、6月にアリタリア(伊)、8月にエアベルリン(独)、そして10月にモナーク(英)が破綻しているのだ。
この厳しい価格競争が続く限り、将来逆に石油価格が値上がりするようになると、低価格料金ではフライトコストを賄えきれなくなって破綻する航空会社は更に増えると予測されている。
破綻した上述3社の中で、一番早く買収先が見つかったのはエアベルリンである。ルフトハンザが同社所有の130機の内の81機を引き取り、8000人の従業員の内の3000人の雇用を引き受けた。買収額はおよそ2億1000万ユーロ(273億円)とされている。
ルフトハンザはこの買収によって、必要とされていた格安航空の路線の拡張を計画しているという。(参照:「
El Pais」)
この買収については、一悶着があった。ドイツ政府が1億5000万ユーロ(195億円)をエアベルリンに繋ぎ資金として融通したことと、ルフトハンザがエアベルリンを買収することはルフトハンザのシェアー拡大が独禁法に触れるという批判があったのだ。しかし、最終的にドイツ政府は両者の合意を尊重した。
エアベルリンの買収に関心を持っていたライアン航空は、上記のような状況を踏まえてもなお、ドイツ政府が両社の合意を認めたことについて、ドイツ政府が市場競争を敢えて妨害したとして、「これは陰謀だ」と主張している。(参照:「
El Pais」)
アリタリアについては、ルフトハンザとイージージェットが当初から買収に関心を表明していた。ライアン航空も関心を示していたが、自社のパイロット不足による多数のフライト・キャンセルの問題を抱えていることから、当面はこの問題の解決に専念するとして、買収プランを撤回した。
10月16日の再建のための入札締切日までに応札した企業は7社あるとアリタリア再建組織委員会が発表した。上述の2社以外に、投資企業も応札に参加しているという。11月5日より再建委員会と応札した各企業との交渉が開始され、2018年4月30日にイタリア政府が最終的に決定を下すことになっているという。(参照「
Invertia」)
モナークは35機を飛ばして英国人を観光地へ案内するフライトを主要業務としていたが、格安航空としては競争力に欠けていた。イージージェットが同社の機材と従業員の一部を抱えることに関心を示しているとしている。(参照:「
Tourin News」)