ウラジオストクで働く北朝鮮労働者に直撃 その厳しい生活事情とは?

「祖国には感謝しているが、生活は厳しい」

 北朝鮮の経済制裁を予定する項目の中には、「国外労働者の強制送還」が挙げられている。また、新規国外労働の全面禁止も視野に入っている。言い換えれば、今後彼らを目にする機会は限定的なものとなる可能性が高い。  現在、ウラジオストクで働く労働者達もその対象となっており、彼らの意見は貴重なものになるはずだ。そこで、街中で働く北朝鮮労働者に協力者を得て、直撃取材を敢行すると、「母国には忠誠を持っているし、感謝もしている」という前置きのあと、その生活事情を明かしてくれた。 Q:家族はいるのか? 1人で来ている? A:「家族は国内にいる。私一人」 Q:なぜウラジオストクに? A:「選ばれたから。選択肢はない」 Q:収入は? A:「それは言えない。罰せられるから。ただ、生活は苦しい。ほとんどのお金が国に入るから、お金は残らない」 Q:衣食住はどうしている? A:「食べ物は作っている。ここに来てから、一度もレストランで外食はしていない。お金が厳しいから」 Q:住まいは国が用意するのか A:「(※少し間を置いて)言えない」 Q:ジーンズは履くのか? A:「それは履けない」 Q:同じようにウラジオストクで働く人のコミュニティはあるのか A:「ある。いつも観られているし、今もわからない」 Q:国に帰りたい? A:「家族に会いたい。ただワガママは言えない」  わずかな時間だが、労働者達の悲壮な“叫び”を聞いた気がした。補足になるが、拒否権は事実上ないとのことで、更に基本的には国外での他国との交流は極力避けるように指示されているとのこと。このような北朝鮮労働者の動きを見られる時間は、あとわずかかもしれない。 <取材・文/栗田シメイ>
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