見失った「仕事の意義」の見つけ方

photo/Elnur / PIXTA(ピクスタ)

 モチベーションファクター(意欲の源泉)を梃にした、分解スキル反復演習型能力開発プログラムを実施する中で、職場におけるストレスを解消する演習も行っている。  これまで、業務山積で何から手を付けてよいかわからず息苦しさを感じる(第50回)、成果が上げられずやりがいを実感できない(第51回)といったストレス状態を克服するための分解スキル活用方法を紹介してきた。  今回は「右から左へ仕事を流してばかりで自分のやっている仕事の意味がわからない」「自分の仕事が会社全体の中で、あるいは社会に対して、意義が見いだせない」というストレス状態の克服方法を紹介する。これも、わずか15分で出来て、ストレス解消の効果のある方法だ。

無駄な「報告のためだけのベストプラクティス」

「自分の仕事の意味がわからない」という状態に陥っているかどうかは、ビジネス上のベストプラクティス(好事例)を洗い上げる演習をしてみると、すぐにわかる。  先月の活動を振り返ってみて、自分で取り組んだベストプラクティスを挙げましょう」という演習を実施すると、必ずと言っていいほど、思い浮かばないという人が出てくる。  定期的にベストプラクティスの共有を義務付けている企業も多いが、担当部署や上司から、いつまでにベストプラクティスを報告せよと指示されて、無理やり報告書に記入した経験のある人も少なくないに違いない。

洗い上げ、絞り込み、掘り下げ

 ベストプラクティスが挙げられず、報告書作成に苦慮する状況も、分解スキルを活用すると、解決できる。ひいては、仕事の意味を見極めることができて、仕事を進めやすくなるのだ。ここでは、プロセスマッピングという手法を使う。  私が実施しているプロセスマッピングは、3つの切り口で、業務を分解する方法だ。1つ目の切り口は、自分が取り組んでいるひとつの業務を、時系列順に、何を行ったか洗い上げていく方法だ。難しく考えることはない。何を実施したか、実施した順に、整理していく。  演習では、付箋を使って、実施した一つの業務について、10のアクションをしたのであれば10枚の付箋に、5つのアクションをしたのであれば5枚の付箋を使って、アクションを書き出していく。そして、実施した順番に、横に並べていく。これが洗い上げのステップだ。  次に、横に並べたアクションのうち、自分が最も苦労したアクションを一つ選ぶ。これが絞り込みのステップだ。  そして、絞り込んだアクションを分解していって、そのアクションに関連して自分が行ったことを、付箋に書き出して、今度は、縦に貼りだしていく。これが掘り下げのステップだ。  このように洗い上げ、絞り込み、掘り下げていくと、そのアクションが順調に進んだにせよ、逆に、行き詰ったりしたにせよ、それらの原因となるコアとなるアクションが見極めやすくなる。
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仕事の意義は自分の中にある
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