「日本一怪しい通訳者」タカ大丸のマラソン珍道中 ようやくゴールするも足動かず

加計呂麻島ハーフマラソン

加計呂麻島ハーフマラソン公式ホームページより

折り返すのは、自分より遅い人がいるのを確認したいだけ!

 ここで、コースを見ていただきたい。  誰の目にも一目瞭然だが、高低差が激しい。折り返し地点までに八回上り坂がある。つまりゴールまでにはその倍の上り坂があるということだ。  8㎞くらいまでは、そもそもなぜ自分がここにいて走っているのかがよくわからなかった。なんとなく胃の調子もよくない。  何が悲しくて飛行機とバスとフェリーを乗り継いでこんな辺鄙な島にまで来てお金を払ったうえで走って苦しんでいるのか。意味がわからない。だがのりかかった船から、今さら降りるわけにはいかない。私は内なる闘志を燃やそうと自らを駆り立てていた。  明らかにキロ5分を超えていて、これだけ上り坂が続いていると下手したら6分さえ守れていないかもしれない。宗男先生は今はキロ5分13秒とか大体自分の走るペースを把握できるらしいが、私はそこまでの次元には達していない。本当に私は前進しているのか。  折り返し地点を過ぎた。すると、前にはほとんど人が見えなかったのに、後ろには沢山人がいたことがわかる。これだけ多くの人たちが折り返し地点に達していないということは、明らかに私より遅いということだ。そして確実に私はこの人たちより早く走れているということだ。急に元気が湧いてきた。  あるとき、マラソンをしない方から「折り返しだと、同じ道を二回走って飽きないか?島なら島を一周したほうが楽しいのではないか?」と聞かれた。  性格が悪い私は、断固「折り返し派」である。私がトップになることはありえないし、最下位もない。ならば、折り返しがあって私より遅い人がいるのを確認できたほうが元気が出るに決まっているではないか。  前回と違い、今のところヒザにもガタは来ていない。これなら何とか乗り切れるのではと思っていたところに、16㎞を過ぎたところで突如ふくらはぎに痛みがきた。筋肉がいきなりグワンと音を立てて上に引き上げられた感じだ。  初めてだったので対処法もよくわからず、とにかく脚全体を伸ばすようにして、同時に用意していたじょうひ餅で糖分を補給するようにする。落ち着いたところでまた走り始める。  20㎞あたり、あと1㎞少々というところで再びふくらはぎの痙攣がやってきた。このときも同じ方法で乗り切った。  そして今度は、ゴール10m前で再びふくらはぎにやってきた。どうせなら、なぜ10mあとで起きてくれないのかと一瞬脚を恨みながら立ち止まる。そしてゴールした。結局、1:57:13で総合170人中35位、辛うじて二時間はきった。  ゴールと同時に猛烈な足裏の痛みに襲われる。一体これは何なのか。私はどうすればいいのか。 【タカ大丸】  ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』(三五館)は12万部を突破。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。  雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。公式サイト
 ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。
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