「ライトレール」に期待懸ける宇都宮市中心部――「タイムリミット」はすぐそこに
2017.10.01
また、北関東随一のアーケード商店街「オリオン通り」など、今後LRT沿線となることが予定される周辺商店街も、郊外化や大型店撤退の影響を大きく受けている。 宇都宮まちづくり推進機構の調査によると、中心市街地における空き店舗数は調査開始の2005年以降年々増加。郊外化に加えて店主の高齢化、東日本大震災による老朽店舗の閉店などの影響もあって2011年12月の空き店舗は132件にものぼり、一時は「ゴーストタウン一歩手前」の様相を呈していた。 その一方で、近年は地価の下落などから居酒屋などの飲食店を中心に新規出店が相次いでおり、2017年9月10日現在、空き店舗数は41件にまで減少。賑わいは全盛期に到底及ばないものの、物販店から飲食店への「店舗の世代交代」により客足は少しずつ戻りつつあるという。 また、大通りから外れた「ユニオン通り」や 釜川沿いには若者向けの古着屋や雑貨店が集積しており、コアな客層に人気の商店街として健闘を続けている。 現在、宇都宮市の中心商店街で比較的活気があるとされる「居酒屋」と「若者向け店舗」は、公共交通の整備が集客に大きな影響を与える業種であり、LRTの延伸が決定されたならば、こうした業種の集積が更に高まる可能性もある。商店街復権への糸口が見えつつあるなか、LRT延伸による「交通事情の改善」によってさらなる勢いをつけたいという思いは強い。 しかし、少しずつ活気が戻りつつある地区があるといえども、中心商店街はまだ「なんとか持ちこたえている」という状態であることには変わりない。 LRTの西側延伸が長引けば、少しずつ中心市街地の体力は奪われていき、ようやく開業にこぎつけたときには大型店の更なる撤退が起き、商店街も再空洞化した後だった、という最悪の事態に陥っているという可能性もある。そうなってしまっては手遅れで、まちの賑わいを取り戻すことは極めて難しくなるだろう。それだけに、中心市街地の商店主がLRTにかける期待は非常に大きなものとなっているのだ。迫る「衰退への“タイムリミット”」
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