救急車が150メートル走っただけで6万円の請求! “一寸先は地獄”のアメリカ保険事情

より手厚い補償を求めるなら、長期滞在者用保険を

 一方、カード付帯保険で気を付けたいのは、補償の手薄さだ。  先述通り、カード1枚についている補償は、大体200万円前後と、たかが知れている。  筆者がその後加入した某社の長期滞在者用海外保険の治療救済費用は、限度額が無制限だ。  クレジットカードを何枚重ねたところで、無制限には敵わない。例えば、呼吸困難を訴え救急車で搬送されたのち、肺塞栓症・肺炎・肺結核と診断され49日間入院・手術した患者が、9,335万円請求されたというケースもある。  慣れない海外では、その分現地で大きな病気になるリスクも増える。それゆえ、やはりクレジットカード付帯の保険は、いざという時の「御守りの御守り」として捉えておいた方がいい。  病気だけではない。海外先では思わぬ事故に巻き込まれ、怪我をするリスクも上がる。旅行会社大手JTBが発表した「2016年度海外旅行保険事故データ」によると、同年度の海外旅行中の事故発生率は3.40%だという。これは29人に1人が何らかの事故に遭っている計算だ。  金の切れ目が命の切れ目にもなりかねない、海外での病気や事故。  旅行先の安心を買うのは、決して無駄な出費ではない。渡航先の治安や医療について一度しっかり調べ、旅行プランに合った海外保険に加入していくことは、必ずや旅先で何よりもの「御守り」となる。 【橋本愛喜】 フリーライター。大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。その傍ら日本語教育やセミナーを通じて、60か国3,500人以上の外国人駐在員や留学生と交流を持つ。ニューヨーク在住。
フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。ブルーカラーの労働環境問題、ジェンダー、災害対策、文化差異などを中心に執筆。各メディア出演や全国での講演活動も行う。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書) Twitterは@AikiHashimoto
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