救急車が150メートル走っただけで6万円の請求! “一寸先は地獄”のアメリカ保険事情

クレジットカード付帯の海外旅行保険に救われる

 話の通り、筆者は海外保険に未加入だった。  そのため、円形脱毛症を発見した当初、現地の病院を訪れるのを躊躇っており、症状が悪化していくのを見届けることしかできずにいたのだが、そんな時、ふとあることに気付く。クレジットカード付帯の海外旅行保険の存在だ。結果的に筆者は、これに心底救われることになる。  ここで、カード付帯の海外保険が大変有効なものだといえる点をいくつか紹介してみよう。 1.長期滞在時にも使用できる  筆者の場合、「旅行」ではなく、あくまでも「長期滞在」だったため、当初は適用外だと勝手に思い込み、「助け船リスト」から完全に外していたのだが、ダメ元でカード会社に問い合わせたところ、すんなりと案内してくれた。  カードの種類にもよるが、付帯の海外保険の場合、その補償期間は日本を出国してから90日間の場合が多い。3か月を超える長期滞在の場合だと全く足りないのだが、実は複数のカードを組み合わせることで、これを延ばすことができる。  クレジットカードには、カードを持っているだけで海外保険が付いてくる「自動付帯」と、その旅行の交通費などを支払うと付いてくる「利用付帯」があるのだが、自動付帯の補償期間が切れる前に、利用付帯のカードで現地のツアー代、航空券、空港までの電車賃などを支払うことで、補償期間を延ばせるのだ。  ただ、最近は条件の変更などで、この方法が使えるカードが少なくなってきているため、渡航前には確認が必要だ。 2.キャッシュレス受診が可能  クレジットカード会社には、各社提携している保険会社があるのだが、その保険会社と提携している現地の病院に行くと、キャッシュレスで受診できる。つまり、治療費を立て替える必要がないのだ。高額の医療費になる際には、こういったサービスがモノを言う。 3.他社カードと補償金額を合算できる  筆者のカードの場合、治療補償の限度額が200万円までで、実際かかったのは先の通り約100万円だったため、限度額内に収まったが、クレジットカードの海外保険は、死亡・後遺障害補償以外の場合、他社のクレジットカードの補償金額と合算することができる。  つまり、筆者のカードの場合、治療費補償金額200万円に、150万円の補償が付いている他社カードを持っていれば、350万円までの治療費がカバーされることになる。 4.帰国後の治療にも有効  これもカードによるが、通常初診から180日間にかかった医療費が補償されているため、海外で発症した病気を日本に戻った後も治療しなければならない場合も、この期間内であれば補償対象となる。  また、旅行終了後72時間以内の発病も保険適用内であるカードが多い。  さらに、現地でキャッシュレス受診ができなかった場合でも、3年以内であれば治療費を請求できるため、過去に外国で病院にかかったことがある場合は、一度過去の明細書を確認してみるといい。
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より手厚い補償を求めるなら、長期滞在者用保険を
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