固く握手する二人だが、原発政策に関しては一致しているとは言えない
小池百合子都知事は9月16日、“盟友”の若狭勝衆院議員が開いた政治塾「輝照塾」の第一回講義に駆けつけ、元国会議員や現職地方議員ら約200人の塾生を前に講演を行った。
原発テロ対策に関する質問を露骨に無視した小池都知事
講演で小池知事は「若狭氏との“出会い”は福島第一原発の視察だった」と振り返りながら、「しがらみの政治に任せず、新しい切り口で進めてほしい」などと呼びかけた。一方の若狭氏は都議選で小池新党(地域政党「都民ファ―ストの会」)が圧勝した余勢を駆って年内に新党を結成し、塾生から次期総選挙の候補者を選ぶという方針を明らかにしていた。
原発問題にこだわりのある2人が「脱・しがらみ政治」で連携すると聞けば、否が応でも「電力業界など“原子力ムラ”とのしがらみのない脱原発政党(新党)が誕生、原発推進の安倍政権と対峙するのか」ということも考えられるのではないか。
しかし講演後の小池知事の囲み取材で、記者の読みは完全に外れた。
記者が「原発テロ対策不十分な中での再稼働反対を(新党の)基本政策にしてほしいですか」と聞いたとたん、小池知事は何も答えずに「他の方、どうぞ」と露骨に無視。
続いて別の記者からの「改憲を最優先課題にするのか」という主旨の質問に対して、小池知事は「国民の皆様が本当にいま求められている、さまざまなニーズというものを受け止める。むしろ発信できる。そういうような塾になってくれれば、いいのではないかというふうに思っています。大変、楽しみにしています。ありがとうございます」と言って、3分で会見を打ち切ろうとした。
そこで記者は「北朝鮮の脅威に対する原発テロ対策は打ち出さないのですか」と言って呼び止めようとしたが、小池知事はそのまま立ち去ってしまった。
若狭氏「新党の方向性は原発再稼働反対になると思う」
小池知事は講演で、若狭氏との“出会い”について、こう語っていた。
若狭氏との出会いは「福島第一原発の視察だった」と語る小池知事
「若狭さんとの出会いと言ったら何ですけれども、実は知事選の前、私は『福島第一原発に行ってみませんか』と当時の自民党の何人かの議員の人に声をかけてみたのですが、結局、若狭さんと私で福島第一原発に最初に行ってまいりました。
それは、エネルギーの問題もありますが、『テロ対策』という治安の関係から『これで日本の原発はいいのだろうか』と。特に若狭さんはそちらからの方向性で一緒に福島原発を視察したということです」
若狭氏は自民党国会議員時代(6月に離党)、「原発攻撃(テロやミサイル)への対策が不十分。原発再稼働はするべきではない」と問題提起。去年10月の東京10区補選でも持論をホームページに掲げて戦うなど、安倍政権に異論を唱える国会議員が皆無に等しい自民党内でも稀有な存在だった。
この立場は自民党離党後も変わっていない。若狭氏の囲み取材で、「『しがらみ政治脱却』の中に原発問題は入らないのか。テロ対策不十分な中で再稼動反対するのか」と聞くと、若狭氏は「新しい党の下では、そういう(原発再稼働反対の)方向になると思います」と答えた。