昨今、一気に注目されるようになったのが「置き配」サービスだ。
「置き配」とは、文字通り、不在時に配達員が荷物を玄関先などに置いていく配達方法である。
最近では、通販大手のアスクルが都内10区や大阪市内9区の対象地域で、個人向け通販「ロハコ」の利用者に対し、指定の場所に配達物を置いていく「置き場所指定配送」ができるサービスを開始して話題になった。サービス開始から約1か月。同社に問い合わせてみたところ、今のところ大きな問題はないそうだ。国内全体での再配達率が約20%であるのに対し、同社は、このサービスによって1%台にまで減少させることを目標としている。
この置き配サービスは、これまでに大手通販会社のAmazonや各食材配達業者などでも、再配達・居留守問題に風穴を開ける画期的な取り組みとして採用されており、今後も利用者が増加することが予想される。しかし、筆者が現在住んでいるアメリカでは、「盗難補償よりも再配達のほうがコストがかかる」という計算のもと、受取側に有無を言わさず荷物を置いていく配達方法が昔から日常的になされており、様々なトラブルの元となっている。詳しくは、
以前紹介した通りだ。
それに対し日本の置き配は、会社ごとによって方法は違うものの、様々な対策が施されているようだ。
問い合わせたアスクルの場合、荷物を汚さぬよう底下にはシートを敷き、個人情報保護のために宛先の電話番号は黒く塗りつぶすという。さらに、ドライバーは商品配達後、荷物を撮影して受取人がアプリ上で配達状況を確認できるようにしている。それでも置いていく事が適切でないと判断した場合は、置き配の依頼があっても持ち帰るなどの対処法とっているとのことだ。
こう見ると、日本の置き配は、アメリカの「置き去り配」とは一線を画した「サービスの1つ」として成り立っているといえるだろう。
しかし今後、こうした置き配が国内の本格的な配達方法として確立していった場合、同時に課題も生じてくる。家の外に商品がある以上、やはりどうしても盗難に対するリスクはゼロにはならず、さらにマンションなどの集合住宅の場合には、避難経路に当たる廊下に長時間置荷物が放置されることで、消防法上の問題も無視できなくなるだろう。対面受取りの次に容易な受取り方法であるがゆえ、早急な対応策が待たれるところだ。