NECが公開した、地球観測衛星「高性能小型レーダー衛星(ASNARO-2)」
日本電気(NEC)は2017年8月9日、新たに開発した地球観測衛星「高性能小型レーダー衛星(ASNARO-2)」を、同社府中事業場において報道関係者に公開した。すでに機体は完成し、試験も終えており、今年中に小型ロケット「イプシロン」による打ち上げが予定されている。
ASNARO-2は小型ながら、搭載している高性能なレーダーを使って地表を細かく見ることができるという特長をもち、さらに衛星本体は、他の目的にも柔軟に対応できる能力をもっている。
NECは今後、この衛星がもつ高性能さと低コスト性、そして衛星データの新たな活用法の創出といったことを強みに、新興国をはじめ世界中への売り込みを狙う。
ASNARO(アスナロ)はNECが開発している人工衛星で、名前は「Advanced Satellite with New system Architecture for Observation」の頭文字から取られている。その名前どおり、ANSAROは高性能ながら、小型かつ低コストで、そして納期が短い、「山椒は小粒でもぴりりと辛い」ということわざを体現するかのような衛星を目指している。
ASNAROの質量は500~600kgほどと、衛星の中では小型の部類に入る。小型ということは製造コストが安く、またロケットも小型のもので打ち上げられるため、打ち上げコストも安くできる。
さらにASNAROは、ただ小さいだけでなく、高い性能もかねそなえている。ASNAROには、ASNARO-1と、今回公開されたASNARO-2という2種類の衛星があり、前者は「光学センサー」という高性能なデジタルカメラを積んでおり、後者は、「合成開口レーダー」という電波を使って地表を撮影する機器を積んでいる。
光学センサーは、地表を細かく撮影することができる一方、撮影地点が夜だったり雲がかかっていたりすると撮影できない。一方、合成開口レーダーは、細かく見る能力はやや劣るものの、レーダー、つまり電波を使って撮影するため、夜でも雲があっても関係なく、地表の様子を見ることができる。
ASNAROの光学センサー、合成開口レーダーの性能は、従来であれば2トンほどの大型の衛星に積まれていたものに匹敵しており、それを小型の衛星に積んでいる点が大きな特長である。